数字から言います。ワーホリの3大渡航先は、税年度の区切りが全部違います。カナダは1月1日から12月31日、オーストラリアは7月1日から6月30日、ニュージーランドは4月1日から3月31日です。
違うのは日付だけではありません。年度末に自分で申告するのか、当局が計算してくれるのか——制度の型そのものが3ヶ国で異なります。
だから「ワーホリの税金」として一括りに理解しようとすると、必ずどこかで噛み合わなくなります。ある国で正しい行動が、別の国では的外れになるからです。
論点は1つです。あなたが行く国は、3つの型のどれですか。ここが分かれば、やるべきことは自動的に決まります。
この記事は比較のためのページです。各国の詳細はそれぞれの記事で扱っています。
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この記事を書いている立場:運営者はカナダのワーキングホリデーで12ヶ月を過ごした実体験がありますが、オーストラリア・ニュージーランドには渡航経験がありません。本記事の制度部分は体験談ではなく、各国税務当局(カナダCRA/豪ATO/NZ IRD)の公開情報を確認して整理したものです。出典と確認日を明記しています。税制は変更され、取り扱いは個人の事情によって異なります。本記事は税務助言ではありません。実際の判断は必ず各国税務当局の公式情報をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。
1枚で見る:3ヶ国の比較
| カナダ | オーストラリア | ニュージーランド | |
|---|---|---|---|
| 税年度 | 1/1〜12/31 | 7/1〜6/30 | 4/1〜3/31 |
| 税務番号 | SIN | TFN | IRD番号 |
| 番号の位置づけ | 就労・口座開設に必要 | 義務ではないが、ないと税が高くなる | 就労に必要 |
| 年度末の原則 | 自分で申告 | 条件を満たせば申告不要 | 当局が計算し得る |
| 最大の分かれ目 | 税務上の居住性 | 雇用主の登録状況 | 税コードの設定 |
| つまずきやすい点 | ビザと居住性の混同 | 源泉の率の確認漏れ | 掛け持ち時のコード変更漏れ |
| 詳細記事 | カナダの税金 | 豪州の税金 | NZの税金 |
出典:CRA「Newcomers to Canada and the CRA」/ATO「Working holiday makers」/IRD「What happens at the end of the tax year」ほか(確認日:2026年8月13日)。本表は構造の比較であり、個別の判定を示すものではありません。制度は変更されます。
あわせて読みたいワーホリから現地就職へ|3か国の永住ルートの選び方ワーホリから現地就職・就労ビザ・永住を目指すルートをカナダ・オーストラリア・ニュージーランドの3カ国で整理。カナダのCE3つの型:どれに当たるかで、やることが変わる
型①:自分で申告する国(カナダ)
CRAは、申告書について所得を報告し、控除を申請し、連邦と州・準州の税額を計算し、お金が戻るか納めるかを判断するものだと説明しています。期限は原則、翌年4月30日。
やること:タックススリップを集めて、期限内に申告する。加えて、申請しないと受け取れない給付があります。
型②:条件を満たせば申告しなくてよい国(オーストラリア)
ATOは、所得のすべてがワーホリ期間中の給与・賃金であり、かつその年度の課税所得が45,001ドル未満(2020–21年度以降)の両方に当てはまる場合、申告も non-lodgment advice も不要としています。
やること:まず自分が「不要」に当たるかを確認する。ただし控除を求めるなら申告が必要です。義務がないことと、申告すれば戻る可能性があることは別の話です。
型③:当局が計算してくれる国(ニュージーランド)
IRDは、年度末に正しい額を払ったか・納税額があるか・還付を受けられるかを算出するとし、所得が給与・賃金やすでに課税された投資所得だけならincome tax assessment を送付するとしています。
やること:入口の税コードを正しく設定する。自動で計算される仕組みだからこそ、設定の誤りがそのまま結果になります。
たとえば「必ず申告して還付を受けよう」という助言は、カナダでは正しく、オーストラリアでは前提が違います(条件を満たせば申告義務自体がない)。
逆に「当局がやってくれるから大丈夫」はニュージーランドの話であって、カナダでは通用しません。
だから最初に型を確認してください。ネット上の体験談は、どの国の話かを確かめずに読むと危険です。
カナダ:居住性が分かれ目
要点3つ
- ①ビザと税務上の居住性は別物:CRAは移民ステータスが納税義務を示すものではないと明記
- ②多くの新規入国者は住み始めた初日から居住者とCRAは説明
- ③判定は「カナダとの結びつき」:住居、銀行口座、州の健康保険、運転免許など
→ カナダのワーホリの税金とタックスリターンで詳しく扱っています。 あわせて読みたいNZと豪州の医療カバー|日本人が対象になる範囲の調べ方ニュージーランドのACCは無過失のスキームで、訪問者も居住者と同じカバーを受けるとされています。一方オーストラリアの相互
オーストラリア:雇用主の登録状況が分かれ目
要点3つ
- ①源泉の率が2通りある:登録されたWHM雇用主なら最初の45,000ドルまで15%、未登録なら非居住者の税率で30%から
- ②登録は雇用主の義務とATOは明記。WHM本人の登録は不要
- ③帰国後にスーパー(退職年金)を請求できる:ただしWHMへのDASPは65%が課税されるとATOは示しています
→ オーストラリアのワーホリの税金とタックスリターンで詳しく扱っています。
豪州の税率は、階段になっています
ATOが示している、登録済みWHM雇用主のもとでの源泉徴収の構造です。| 年間の総支払額 | 税率 |
|---|---|
| 〜AUD 45,000 | 一律15% |
| AUD 45,001〜135,000 | AUD 6,750+45,000超過分1ドルにつき30セント |
| TFN(税務ファイル番号)を提出しない場合 | 総支払額の45% |
そしてこれは「所得が多いから」ではなく「番号を伝えていないから」引かれる率です。働き始める前にTFNを取得して雇用主に伝える——それだけで、この差がなくなります。
上限額にも注目してください。15%が適用されるのは1所得年度内・1人あたり45,000ドルまでです。豪州の所得年度は7月1日から6月30日。つまり年度をまたぐと、45,000ドルの枠はリセットされます。ファームで稼ぐ時期と年度の切れ目の関係は、実務上意味を持ちます。
なお上記は2026年7月1日からの源泉徴収の率です。最終的な税額は年次の申告で確定します。ファームで働く場合も、この構造は同じです。 あわせて読みたいワーホリの仕事完全ガイド|職種別に残る額で比べる方法【2026】ワーホリの収入を決めるのは時給ではなく雇用の形です。NZさくらんぼは出来高制で1日NZ$200〜400、住み込みの仕事は
スーパーは戻ります。ただし65%が引かれます
オーストラリアで働くと、雇用主は一定の要件のもとでスーパーアニュエーション(退職年金)を積み立てます。一時滞在ビザで出国する人は、これをDASP(Departing Australia Superannuation Payment)として請求できます。
ここまでは、よく知られている話です。問題は税率です。
ATOが示している率を並べます。
| 対象 | DASPの税率 |
|---|---|
| ワーキングホリデーメーカー(417/462) | 65% |
| その他の一時滞在者(課税済み要素) | 35% |
| その他の一時滞在者(未課税要素) | 45% |
さらに、適用範囲の書き方が重要です。ATOは「417または462(および関連するブリッジングビザ)を一度でも保有したことがあり、DASPにそのビザを保有していた期間の拠出に帰属する金額が含まれる場合」にWHM税率が適用されるとしています。
つまり、その後に学生ビザや就労ビザへ切り替えたとしても、ワーホリ期間に積み立てられた分には65%がかかるということです。「あとで別のビザになったから通常の率になる」とはなりません。
手取りの感覚で言えば、積立が10万円あっても、受け取るのは3万5千円程度という計算になります。
この数字を知っておく意味は2つあります。ひとつは、帰国後の入金額を過大に見積もらないこと。もうひとつは、それでも請求しないと0円だということです。65%引かれても、残りは受け取れます。請求しなければ全額が手元に来ません。
請求は出国してビザが失効した後に行います。受け取り口座を先に閉じてしまうと詰まる点は帰国前のお金のチェックリストで扱っています。
なお本記事では、DASPの具体的な請求手続き、必要書類、KiwiSaver(NZ)やCPP(カナダ)の扱いについては確認しておらず、扱いません。それぞれの当局の案内をご確認ください。
ニュージーランド:税コードが分かれ目
要点3つ
- ①税コードは収入源ごとに選び、IR330で支払者に伝える
- ②支払者はIRDに確認しないとIRDは明記。伝えたコードがそのまま使われます
- ③掛け持ちならセカンダリー税コード:これは余計に取る仕組みではなく、年度末に不足や払いすぎが出ないようにするためのもの
→ ニュージーランドのワーホリの税金と税コードで詳しく扱っています。 あわせて読みたいワーホリの盗難・詐欺|書面と記録で自分を守る方法ワーホリ中の盗難・詐欺・金銭トラブルの防ぎ方と対処法。運営者のカナダ12ヶ月で実際に起きた事例(友人のクレジットカード盗
3ヶ国に共通してやるべき3つ
| やること | なぜ効くか |
|---|---|
| ①税務番号を早く取る | 就労の前提であり、ない状態は不利に働き得る |
| ②給与明細を職場ごとに保存する | 複数の職場を経験するほど重要。帰国後に集めるのは非常に大変 |
| ③最初の給与で控除の内訳を確認する | 異常に早く気づける。数ヶ月放置すると精算が必要になる |
給与明細や納税の記録は、就労ビザや永住の申請で就労経験を証明する材料になります。記録が残らない働き方は、その期間をキャリアとして使えなくするということです。
詳しくはカナダの永住ルートの記事、豪州とNZの就労ビザの記事で扱っています。
よくある3つの誤解
そうとは限りません。年間を通じて正しい額が引かれていれば、還付も追加納税も生じません。還付が出るのは、引かれた額が実際の納税額を上回っていた場合です。
そして国によっては、そもそも申告義務がない条件が定められています。
カナダのようにワーホリで普通に行う行為が居住性の判断材料になり得る国があります。またIRDは、年度の一部の期間だけの所得であっても扱いは同じだと明記しています。
期間の短さは、免除の理由になりません。
CRAはスリップを受け取っていない所得や、チップ、現金での受け取りも申告の対象としています。
そして記録が残らない働き方は、その期間を就労経験として証明できなくします。目先の手取りより、記録の有無を優先してください。
国を選ぶとき、税金は考慮すべきか
結論から言うと、ほとんど考慮しなくて構いません。制度の違いは手続きの違いであって、渡航先を左右するほどの差にはなりにくいからです。
ただし1点だけ、知っておくと役に立つこと
税年度の区切りは国ごとに違うため、渡航の時期によって「1年の滞在が1つの年度に収まるか、2つに分かれるか」が変わります。
これは得か損かの単純な話ではなく、所得額や設定によって結果が変わります。渡航時期は、季節労働の需要や航空券のほうが影響が大きい要素です。
→ 渡航時期の考え方はワーホリ渡航のベスト時期で扱っています。
National Insurance番号がなくても働き始められますが、緊急税コードになると週・月の収入を1年分とみなして課税され、税年度の終わりまで続きます。有給休暇は年5.6週間で、ゼロ時間契約の労働者も対象です。
→ 英国で働き始めるときの2つの数字|緊急税コードと年5.6週間の有給
英国の法定最低通知期間は勤続12年以上で12週間、オーストラリアは5年超の4週間が上限(45歳超・勤続2年以上でさらに1週間)。ワーホリの1年ならどちらも基本は1週間で、豪州には「通知に代わる支払い」という形もあります。
→ 雇用を終わらせるときの通知期間|英国の12週と、豪州の4週
在外選挙人名簿の登録は自動では行われません。出国時申請の窓は「転出届の提出日〜転出予定日」で閉じ、申請先は住民課ではなく選挙管理委員会です。出国後の在外公館申請は3か月以上の継続居住が登録の条件になります。
→ 在外選挙人名簿の登録|出国時申請の窓は、転出予定日で閉じます
税と社会保険の判断は、渡航前にしかできないものが混ざっています。転出届を出すかどうかで住民税・健康保険・年金の扱いが連鎖して変わるからです。そして順番を間違えると、後から戻せません。
① 現地で連絡が取れる状態を作る|Glocal eSIM
手続きも仕事探しも、連絡が取れないと止まります。注文から開通まで90日の猶予があるので、渡航前に買っておけます(公式サイトの記載・2026年8月確認)。到着してSIMを契約するまでの空白を、先に埋めておく選択肢です。
Glocal eSIMのプランを見る →
消費税の還付は、4か国のうち1か国にしか残っていません
ニュージーランドは制度そのものがなく、カナダは2007年、英国は2021年に廃止しています。「あとで税が戻る前提」で予算を組まないほうが安全です。
送金の手数料は、1回あたりの額より「何回送るか」で総額が決まります。実際の画面と手順は別記事で扱っています。
帰国時に荷物を送るなら、空港でやることがあります
税関は「入国(帰国)後は別送品の申告はできません」と明記しています。確認印の再発行も不可。申告書2通は、その日にしか出せません。
現地で免許を取ったなら、切替の条件が2025年10月に変わりました
知識確認は10問から50問へ、合格は7割から9割へ。さらに「免許取得後にその国へ通算3か月以上滞在」が条件です。
豪州で働いたなら、年金(スーパー)が積み立てられています
帰国後にDASPとして請求できます。ただしワーホリの税率は65%(通常は35%・45%)。しかも書類の認証と口座は、帰国前にしか手当てできません。
よくある質問
ワーホリでも現地の税金を払う必要がありますか?
働いて所得を得れば、原則として現地の税制度の対象になります。3ヶ国とも、雇用されて給与を受け取る場合は支払いの前に税が差し引かれる仕組みです。ただし年度末にどう精算されるかは国によって異なり、カナダは原則として自分で申告し、オーストラリアは条件を満たせば申告不要とされ、ニュージーランドはIRDが計算する場合があります。
3ヶ国で一番大きな違いは何ですか?
年度末の扱いです。カナダは自分で申告する国、オーストラリアは条件を満たせば申告しなくてよい国、ニュージーランドは当局が計算し得る国、と型が分かれます。さらに税年度の区切りも、カナダが1月から12月、オーストラリアが7月から6月、ニュージーランドが4月から3月とすべて違います。同じ「ワーホリの税金」として一括りに理解しようとすると噛み合わなくなるのは、このためです。
申告すれば必ず税金が戻ってきますか?
必ずではありません。還付が生じるのは、年間を通じて引かれた額が実際の納税額を上回っていた場合です。正しく引かれていれば還付も追加納税も生じませんし、不足していれば納めることになります。また国によっては申告義務がない条件が定められているため、まず自分がどの立場かを確認してください。
渡航先を税金で選ぶべきですか?
ほとんど考慮しなくて構いません。制度の違いは主に手続きの違いであり、渡航先を左右するほどの差にはなりにくいからです。強いて言えば税年度の区切りが国ごとに違うため、渡航時期によって1年の滞在が1つの年度に収まるか2つに分かれるかが変わりますが、これは得か損かの単純な話ではありません。渡航時期は季節労働の需要や航空券のほうが影響の大きい要素です。
給与明細はいつまで保存すべきですか?
国によって案内が異なりますが、たとえばCRAは申告後も書類を6年間保管するよう案内しています。加えて実務的な理由があります。複数の職場を経験するほど書類は増え、帰国後にまとめて集めるのは非常に大変です。また給与明細や納税の記録は、就労ビザや永住の申請で就労経験を証明する材料にもなります。離職のたびに保存する習慣をつけてください。
この記事について:運営者はカナダで12ヶ月、米国で半年を過ごしましたが、オーストラリア・ニュージーランドには渡航していません。本記事は制度を公的資料から整理したものです。
オーストラリアの源泉徴収率およびDASPの税率の出典はオーストラリア税務当局(ATO)「Tax rates - working holiday maker」「Schedule 15 - Tax table for working holiday makers」「Departing Australia superannuation payment (DASP)」です(2026年8月時点で確認)。記載した源泉徴収率は2026年7月1日からの支払いに適用されるものです。ニュージーランドの出典はInland Revenue(IRD)、カナダの出典はCanada Revenue Agency(CRA)です。
本記事では、各国の最終的な税額の計算方法、控除・還付の適用可否、居住性(residency)の個別判定、DASPの請求手続きと必要書類、KiwiSaverやCPPの扱い、二重課税や租税条約の適用については扱っておらず、判断も示していません。税率・制度・年度の区切りは改正されます。個別の税務については各国の税務当局または税理士等の専門家にご相談ください。本記事は税務助言ではありません。
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本記事は税務助言ではありません。記載内容は各国税務当局(カナダCRA/豪ATO/NZ IRD)の公開情報を確認日:2026年8月13日に確認して整理したものであり、税制および取り扱いは変更されます。また税務上の居住性の判定をはじめ、適用される内容は個人の事情によって異なります。金額・期限・区分はいずれも本記事の確認時点のものであり、将来にわたって保証されるものではありません。実際の申告・判断にあたっては、必ず各国税務当局の公式情報をご確認のうえ、必要に応じて各国の税務専門家にご相談ください。