「明日から来なくていい」——これは、制度上は想定されていない終わり方です。
英国にもオーストラリアにも、雇用を終わらせるときの最低通知期間が法律で定められています。そしてその長さが、2か国で3倍違います。
英国は最大12週間。勤続12年以上の場合です。オーストラリアは最大4週間(45歳以上で勤続2年以上ならさらに1週間)。
ただしワーキングホリデーの1年という期間で見ると、どちらの国も答えは同じになります。基本は1週間です。
1週間は短く感じるかもしれません。ですが「ゼロ」ではありません。この記事では、2か国の通知期間を公的資料から整理します。
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先に、2か国の階段を並べます
| 勤続期間 | 英国 | オーストラリア |
|---|---|---|
| 1年以下 | 1週間(1か月以上2年未満) | 1週間 |
| 1年超〜2年 | 1週間 | 2週間 |
| 2年超〜3年 | 2週間(勤続年数分) | 2週間 |
| 3年超〜5年 | 勤続年数分の週数 | 3週間 |
| 5年超 | 勤続年数分の週数 | 4週間(上限) |
| 12年以上 | 12週間(上限) | 4週間 |
設計の思想が違います
英国は「長く働いた人ほど、長く猶予を与える」という設計です。勤続年数がそのまま週数になり、12年で頭打ちになります。
オーストラリアは「4週間で頭打ち」という設計です。5年働いても20年働いても、法定の最低通知は4週間です(45歳以上で勤続2年以上の場合の追加を除く)。
そしてワーキングホリデーの1年という期間では、両国とも1週間から始まります。ここは共通しています。
あわせて読みたいワーホリの海外送金|手数料と為替で目減りさせない送り方ワーホリ・留学の海外送金完全ガイド。Wise・Revolut・銀行送金を運営者カナダ12ヶ月実体験で徹底比較。手数料0.英国:勤続年数がそのまま週数になります
法定の最低通知期間
英国では、雇用主が解雇する際に与えなければならない法定の最低通知期間が、勤続期間に応じて定められています。- 継続雇用が1か月以上2年未満:1週間
- 継続雇用が2年以上12年未満:継続雇用1年につき1週間
- 継続雇用が12年以上:12週間
そして「雇用主はこれより短い通知期間にすることはできない」とされています。これは最低ラインであり、契約でこれを下回ることはできないという設計です。
ワーキングホリデー(YMS)で1年働く場合、該当するのは最初の行です。継続雇用が1か月以上2年未満なので、1週間になります。
逆に言えば、勤続1か月未満の段階では、この法定通知の対象外という読み方になります。働き始めて間もない時期がもっとも不安定である、という点は認識しておく価値があります。 あわせて読みたい英国のデポジット|30日ルールと返還請求の進め方イングランドとウェールズでは、大家はデポジットを30日以内に政府承認のスキームへ預ける義務があります。預けなかった場合、
オーストラリア:4週間で頭打ち、ただし45歳以上には加算があります
国家雇用基準(NES)の最低通知期間
オーストラリア公正労働オンブズマンは、最低通知期間をこう示しています。| 継続勤務期間 | 最低通知期間 |
|---|---|
| 1年以下 | 1週間 |
| 1年超〜3年 | 2週間 |
| 3年超〜5年 | 3週間 |
| 5年超 | 4週間 |
これは英国にはない設計です。年齢が高いほど再就職に時間がかかり得る、という前提が制度に組み込まれていると読めます。
ワーキングホリデーは18〜30歳(国により31歳)が対象なので、この加算に該当することはありません。ですが「制度が何を考慮しているか」を知る手がかりにはなります。
そして通知の扱い方にも選択肢が示されています。「最低通知期間は従業員が働くこともできますし、雇用主が通知に代わる支払い(payment in lieu of notice)を行うこともできます」。
つまり「今日で終わり」と言われた場合でも、その週の分は支払われるべきだという構造です。働かずに終わることと、支払われないことは別の話です。 あわせて読みたいNZと豪州の医療カバー|日本人が対象になる範囲の調べ方ニュージーランドのACCは無過失のスキームで、訪問者も居住者と同じカバーを受けるとされています。一方オーストラリアの相互
ワーホリで実際に起きること
1年の滞在では、英国も豪州も基本は1週間です。長くはありません。ですが、これは制度が保証している最低ラインです。
「明日から来なくていい」と言われた場合、それが法定の通知期間を満たしているかは確認する余地があります。そして満たしていない場合、豪州では通知に代わる支払いという形が制度に用意されています。
ここで効いてくるのが、これまでの記事で扱ってきた「記録」です。いつから働いたか。何時間働いたか。勤続期間が通知期間を決める以上、開始日の記録は意味を持ちます。
そして書面です。ニュージーランドでは書面の雇用合意書が法的義務とされ、オーストラリアではカジュアルに2通の情報提供書を渡す義務があります。これらの書類に、雇用の終わり方についての記載があるはずです。
本記事では、不当解雇(unfair dismissal)の要件、即時解雇(summary dismissal)が認められる場合、解雇手当(redundancy pay)の計算、申立ての手続きについては扱っておらず、判断も示していません。これらは個別の事情によって結論が変わります。問題が起きた場合は、各国の労働当局にご相談ください。
自分から辞める場合も、通知が要ります
通知は雇用主だけの義務ではありません
ここまで「解雇される側」の視点で書いてきましたが、辞める側にも通知の義務があります。
オーストラリアの公正労働オンブズマンは、辞職(resignation)についても案内を設けています。従業員が辞める場合の通知期間は、通常雇用契約またはアワード(award)に定められています。
ワーキングホリデーでは、次の街へ移る、ファームに行く、帰国する——といった理由で辞めることが日常的に起こります。そのとき「何日前に伝えるべきか」は契約書に書かれている可能性が高いということです。
これは実利にも関わります。定められた通知期間を守らずに辞めた場合、最後の給与の扱いや、次の雇用主への照会(reference)に影響し得ます。1年の滞在で複数の職場を経験するなら、辞め方の積み重ねが後半に効いてきます。
そして英国では未消化の法定有給が退職時に支払われるべきものとされています。辞めるタイミングは、受け取るものの計算にも関わります。
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「法定の週数」という形ではありません
ニュージーランドについては、本記事では法定の最低通知期間の週数を確認していません。
ただし雇用合意書の記事で扱ったとおり、Employment New Zealandは雇用合意書に「合意したその他の事項」を記載することを求めており、雇用の終わり方に関する取り決めもここに含まれ得ます。
つまりニュージーランドでは「契約書に何と書いてあるか」が起点になる可能性が高いということです。
そしてニュージーランドには、書面の雇用合意書を渡さない雇用主に$1,000の反則金という規定があります。書面がなければ、通知期間の取り決めも確認できません。ここでも「書面をもらう」が最初の一歩になります。
正確な内容は、Employment New Zealandの該当ページでご確認ください。
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同じ「英語圏の労働法」でも、答えが違います
この記事で見た数字を並べます。- 英国:最大12週間(勤続12年以上)
- オーストラリア:最大4週間(5年超。45歳以上で勤続2年以上なら+1週間)
- ニュージーランド:契約で定める(本記事では法定の週数を確認していません)
これはこのサイトが繰り返し確認してきた構造と同じです。労働時間では、英国が上限を本人同意で外せる一方、NZは休憩を契約で減らせません。敷金では、預け先が4通りに分かれます。
「英語圏だから似たようなもの」という前提が、制度の細部では成り立たないということです。
そして実務的な結論はシンプルです。渡航先が決まったら、その国の制度を1つだけ確認する。全部を覚える必要はありません。
働き始めたら、確認する3つ
- ①働き始めた日を記録する:勤続期間が通知期間を決めます
- ②契約書に通知期間の記載があるか確認する:自分が辞める場合にも適用されます
- ③「今日で終わり」と言われたら、支払いの扱いを確認する:豪州には通知に代わる支払いという形があります
英国では、継続雇用が1か月以上2年未満なら1週間、2年以上なら1年につき1週間、12年以上で12週間が法定の最低通知期間とされています。
オーストラリアでは、1年以下で1週間、5年超で4週間が上限です。45歳を超えて勤続2年以上ならさらに1週間が加わります。そして通知は、働くことも、通知に代わる支払いを受けることもできるとされています。
ワーキングホリデーの1年では、どちらの国も基本は1週間です。短いと感じるかもしれません。ですが制度は「ゼロ」を認めていません。
「明日から来なくていい」と言われたとき、それが制度上どう扱われるのか。知っていれば、確認できます。
この記事について:運営者はカナダで12ヶ月、米国で半年を過ごしましたが、英国・オーストラリア・ニュージーランドには渡航していません。本記事は制度を公的資料から整理したものであり、現地での就労体験は含みません。
出典はGOV.UK(Redundancy: your rights / Employment Rights Act 1996に基づく最低通知期間)、およびオーストラリア公正労働オンブズマン(Fair Work Ombudsman)「Notice of termination and redundancy pay」「Resignation and notice」です(いずれも2026年8月時点で確認)。ニュージーランドの法定通知期間については本記事では確認しておらず、記載していません。
本記事では、不当解雇(unfair dismissal)の要件と申立て、即時解雇(summary dismissal)が認められる場合、解雇手当(redundancy pay)の金額と計算、通知期間が適用されない例外、カジュアル雇用における通知の扱い、有期契約の終了、アワードや個別契約が法定より長い通知期間を定めている場合の扱いについては扱っておらず、判断も示していません。これらは個別の事情によって結論が変わります。
また英国の労働法は地域によって取り扱いが異なる場合があり、北アイルランドについてはnidirectに別途の案内があります。制度は改正されます。解雇や雇用終了に関する個別の問題については、ACAS(英国)、公正労働オンブズマン(豪州)、Employment New Zealand(NZ)、または専門家にご相談ください。本記事は法的助言ではありません。
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よくある質問
英国で解雇されるとき、何週間前に言われますか?
勤続期間によって決まります。英国の法定の最低通知期間は、継続雇用が1か月以上2年未満なら1週間、2年以上12年未満なら継続雇用1年につき1週間、12年以上なら12週間とされています。たとえば勤続6年なら6週間です。そして雇用主はこれより短い通知期間にすることはできないとされています。ワーキングホリデー(YMS)で1年働く場合は最初の区分にあたるため、1週間になります。逆に勤続1か月未満の段階では、この法定通知の対象外という読み方になります。なお不当解雇の要件や即時解雇が認められる場合については本記事では扱っていません。
オーストラリアの通知期間はどうなっていますか?
公正労働オンブズマンが示す最低通知期間は、継続勤務1年以下で1週間、1年超〜3年で2週間、3年超〜5年で3週間、5年超で4週間です。上限は4週間となっています。加えて「45歳を超える従業員で、雇用主のもとで少なくとも2年働いている場合、さらに1週間の通知が与えられます」とされています。ワーキングホリデーは18〜30歳(国により31歳)が対象なのでこの加算には該当しませんが、制度が年齢を考慮していることは分かります。また最低通知期間は従業員が働くこともできますし、雇用主が通知に代わる支払い(payment in lieu of notice)を行うこともできるとされています。
「明日から来なくていい」と言われたらどうなりますか?
それが法定の通知期間を満たしているかを確認する余地があります。英国もオーストラリアも、雇用を終わらせる際の最低通知期間を定めており、ワーキングホリデーの勤続期間なら基本は1週間です。オーストラリアでは、通知期間を従業員が働く形のほか、雇用主が「通知に代わる支払い」を行う形も制度に用意されています。つまり働かずに終わることと、支払われないことは別の話だということです。ここで効いてくるのが記録で、勤続期間が通知期間を決める以上、働き始めた日の記録には意味があります。なお即時解雇が認められる場合や不当解雇の申立てについては本記事では扱っていないため、各国の労働当局にご相談ください。
自分から辞めるときにも通知は必要ですか?
必要です。通知は雇用主だけの義務ではありません。オーストラリアの公正労働オンブズマンは辞職(resignation)についても案内を設けており、従業員が辞める場合の通知期間は通常、雇用契約またはアワードに定められています。ワーキングホリデーでは次の街へ移る、ファームに行く、帰国するといった理由で辞めることが日常的に起こりますが、「何日前に伝えるべきか」は契約書に書かれている可能性が高いということです。定められた通知期間を守らずに辞めた場合、最後の給与の扱いや次の雇用主への照会に影響し得ます。複数の職場を経験するなら、辞め方の積み重ねが後半に効いてきます。
ニュージーランドの通知期間は何週間ですか?
本記事では法定の最低通知期間の週数を確認していないため、記載していません。ただしEmployment New Zealandは雇用合意書に「合意したその他の事項」を記載することを求めており、雇用の終わり方に関する取り決めもここに含まれ得ます。つまりニュージーランドでは「契約書に何と書いてあるか」が起点になる可能性が高いということです。なおニュージーランドでは書面の雇用合意書を渡さない雇用主に1,000ドルの反則金という規定があり、書面がなければ通知期間の取り決めも確認できません。ここでも「書面をもらう」が最初の一歩になります。正確な内容はEmployment New Zealandの該当ページでご確認ください。
英国と豪州で、なぜこれほど差があるのですか?
設計の思想が異なるためと考えられます。英国は「長く働いた人ほど長く猶予を与える」構造で、勤続年数がそのまま週数になり12年で頭打ちになります。オーストラリアは5年超の4週間で頭打ちとし、代わりに45歳超で勤続2年以上の場合に1週間を加算するという、年齢を考慮した構造です。どちらが優れているという話ではなく、何を基準に猶予を配分するかの違いです。実務的には、渡航先が決まったらその国の制度を1つだけ確認すれば足ります。なお本記事では制度の背景や立法趣旨についての分析は行っておらず、公表されている内容の整理にとどめています。
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本記事の制度・条件・金額は執筆時点で公開情報を確認したものです(確認日:2026年8月8日)。制度や料金は変更される場合があるため、実際の手続き・申請の前に各機関の公式情報を必ずご確認ください。本記事は法的・専門的な助言ではなく、特定の結果を保証するものではありません。