労働時間と休憩|イギリスの48時間オプトアウトと、NZの減らせない休憩

イギリスとNZの労働時間|契約で変わる休憩の確認方法

「働きすぎ」を制度がどう扱うか。ここに、2つの国のはっきりした違いが出ます。

英国には週48時間の上限があります。ただしGOV.UKは「18歳を超えていれば、平均して週48時間を超えて働くことを選ぶことができます。これは『オプトアウト』と呼ばれます」と記載しています。つまり本人の同意で、上限を外せます。

ニュージーランドの休憩は、外せません。Employment New Zealandは「休憩を取る従業員の最低限の権利、または代償措置を取り除いたり減らしたりする雇用契約の条項は、効力を持たず、雇用主が執行することはできません」としています。

放棄できる権利と、放棄できない権利。同じ英語圏でも、線の引き方が違います。この記事では2か国の労働時間と休憩を、公的資料から整理します。

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先に、2か国を並べます

英国ニュージーランド
労働時間の上限平均で週48時間(通常17週間で平均)本記事では上限の記載を確認していません
上限を外せるか外せる(18歳超・自発的・書面)
休憩1日6時間超で20分(中断のないもの)8時間勤務で10分×2+30分
休憩を契約で減らせるか本記事では確認していません減らせない(条項は効力を持たない)
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英国:週48時間、ただし17週間の平均です

「その週」ではなく「平均」で見ます

GOV.UKは、こう記載しています。「あなたは平均して週48時間を超えて働くことはできません。通常は17週間で平均します」。

ここで重要なのが「平均」という言葉です。ある週に60時間働いたからといって、それだけで直ちに上限を超えたことにはなりません。17週間ならして48時間以内かどうかで判断されます。

これは繁閑の差が大きい仕事を想定した設計です。ホスピタリティや小売のように、シーズンで忙しさが変わる業種では、週単位で厳密に区切ると現実に合いません。だから期間をならして見る仕組みになっています。

逆に言えば、忙しい時期が続いたあとは、その分を戻す必要があるということでもあります。「今週だけ多かった」ではなく、数か月の合計で自分がどのあたりにいるかを把握しておくと、話がしやすくなります。

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そして、その上限は外せます

オプトアウトという仕組み
GOV.UKは、こう記載しています。「18歳を超えていれば、平均して週48時間を超えて働くことを選ぶことができます。これは『オプトアウト(opting out)』と呼ばれます」。
そして条件が2つ、明確に示されています。
  • 自発的(voluntary)であること
  • 書面によること(in writing)
口頭での合意や、暗黙の了解は想定されていません。書面です。
さらに、いちばん重要な保護が明記されています。「あなたの雇用主はオプトアウトを求めることができますが、拒否したことを理由に解雇されたり、不当な扱いを受けたりすることはありません」。
「求めることはできる」「しかし断ってもいい」「断ったことで不利益を受けてはならない」。この3段構えが、制度の設計です。
ワーキングホリデーで働く人にとって、これは知っておく価値のある規定です。言葉に不安があり、立場が弱いと感じている状況では、求められたものを断りにくくなります。そのとき「断っても不利益を受けない」と法が明記していることを知っているかどうかで、判断の余地が変わります。
もちろん、稼ぎたくてオプトアウトを選ぶこと自体は否定されていません。制度は選択肢を用意しているだけです。問題になるのは、選んだつもりがないのに選ばされている状態のほうです。
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英国の休憩:6時間を超えたら20分

「中断のない20分」です

GOV.UKは「労働者は、1日6時間を超えて働く場合、中断されない20分の休憩を1回取る権利があります」としています。

「中断されない(uninterrupted)」という条件が付いている点に注目してください。5分ずつ4回に分けて合計20分、という形は想定されていません。まとまった20分です。

基準は「1日6時間を超えるかどうか」。6時間ちょうどなら対象外、6時間を超えれば対象という線引きです。

シフト制の仕事では、この6時間が実務上の分かれ目になります。自分のシフトが何時間なのかを把握しておけば、休憩があるべきかどうかが分かります。

本記事では、この休憩が有給か無給か、18歳未満の若年労働者に対する別の規定、1日および1週間の休息期間(rest period)については扱っていません。GOV.UKの該当ページでご確認ください。

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ニュージーランド:8時間勤務で3回の休憩

時間と回数が具体的に決まっています

Employment New Zealandは、休憩の最低基準をこう示しています。「休憩(rest break)は最低10分、食事休憩(meal break)は最低30分でなければなりません。従業員は休憩について有給で支払われ、食事休憩は無給です」。
そして具体例が示されています。「回数と長さは、働いた時間によって決まります。たとえば8時間の勤務時間中は、10分の有給休憩を2回と、30分の無給食事休憩を1回取る権利があります」。
種類最低時間賃金
休憩(rest break)10分有給
食事休憩(meal break)30分無給
10分の休憩に賃金が発生する、という点は見落とされやすい部分です。「休んでいる時間は無給」と一律に思っていると、気づけません。
そして計算の基準となる「work period(勤務時間)」の定義も示されています。「勤務時間とは、従業員が仕事を始めた時点から仕事を終える時点までの期間を意味し、有給・無給を問わず、認められたすべての休憩を含みます」。
つまり休憩時間も含めた拘束時間の全体で数える、ということです。 あわせて読みたいNZのシェアハウス|契約書に名前を入れる方法と守られ方NZ政府のTenancy Servicesは、賃貸借契約書に署名していない人はテナントではなくフラットメイトであり、住居

そして、契約で減らすことはできません

「効力を持たない」と明記されています
Employment New Zealandには、こう記載されています。「休憩を取る従業員の最低限の権利、または代償措置を取り除いたり減らしたりする雇用契約の条項は、効力を持たず、雇用主が執行することはできません」。
契約書に書いてあっても、その条項自体が無効だということです。署名したかどうかは関係ありません。
ここが英国のオプトアウトとの決定的な違いです。
  • 英国の週48時間上限:本人が自発的に、書面で同意すれば外せる
  • NZの休憩の権利:契約で減らそうとしても効力を持たない
前者は「本人が選べる権利」、後者は「本人が手放せない権利」として設計されています。
そしてもうひとつ、対象の広さが明記されています。これらの権利は従業員に広く適用され、カジュアル労働者も常用の従業員と同じ休憩の権利を持つとされています。
「単発のシフトだから休憩はない」という理解は、正しくないということです。カジュアル雇用の考え方は豪州の記事でも扱っていますが、国によって扱いが違う点に注意が必要です。
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この2つを並べると、何が見えるか

「放棄できる権利」と「放棄できない権利」

制度を読むとき、この区別を意識すると理解が早くなります。

放棄できる権利は、本人の判断に委ねられています。英国の週48時間上限がこれにあたります。稼ぎたい人は外せる。ただし「自発的」「書面」「拒否しても不利益なし」という3つの安全装置が付いています。

放棄できない権利は、本人が同意しても動きません。ニュージーランドの休憩がこれです。「契約に書いても効力がない」と明記されているのは、そうした契約が実際に存在し得るからです。

この構造は、他の制度でも繰り返し現れます。ニュージーランドの雇用合意書では「最低権利は契約書に書かれていなくても適用され、雇用合意書はこれらを減らしたり他のものと引き換えにしたりできない」とされています。オンタリオ州の賃貸では「法のもとでの権利を奪おうとする追加条項は無効」とされています。

共通しているのは、契約より法が上にあるという設計です。

だから「サインしてしまったから仕方ない」と考える前に、その条項が有効なのかを確認する余地があります。署名は、何でも成立させる魔法ではありません。

働き始めたら、確認する3つ

英国には平均で週48時間という上限があります。ただし18歳を超えていれば、自発的かつ書面によってオプトアウトできます。そして拒否したことを理由に解雇されたり不当な扱いを受けたりすることはないと明記されています。

ニュージーランドでは、8時間の勤務なら10分の有給休憩2回と30分の無給食事休憩1回が最低基準です。そしてこれを減らす契約条項は効力を持たないとされています。

選べる権利と、選べない権利。どちらも働く人を守るための設計ですが、守り方が違います。

そして共通しているのは、知らなければ使えないという点です。「断ってもいい」と法が書いていても、書いてあることを知らなければ、断る選択肢は最初から存在しません。

この記事について:運営者はカナダで12ヶ月、米国で半年を過ごしましたが、英国・ニュージーランドには渡航していません。本記事は制度を公的資料から整理したものであり、現地での就労体験は含みません。
出典はGOV.UK「Maximum weekly working hours」「Rest breaks at work」、およびEmployment New Zealand(ビジネス・イノベーション・雇用省)「Rest and breaks」「Hours of work」です(いずれも2026年8月時点で確認)。
本記事では、英国の休憩が有給か無給か、18歳未満の若年労働者に対する規定、1日および1週間の休息期間(rest period)、17週間の平均の具体的な計算方法、オプトアウトの撤回手続き、労働時間の上限が適用されない職種の例外、ニュージーランドにおける休憩の代償措置(compensatory measures)の内容、休憩を取れなかった場合の申立ての手続きについては扱っておらず、判断も示していません。これらについてはGOV.UK、ACAS、Employment New Zealandの該当ページでご確認ください。
なお英国の労働法は地域によって取り扱いが異なる場合があり、北アイルランドについてはnidirectに別途の案内があります。制度は改正されます。個別の労働問題については、ACAS(英国)、Employment New Zealand(NZ)、または専門家にご相談ください。本記事は法的助言ではありません。

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関連:「明日から来なくていい」は制度上想定されていません
英国の法定最低通知期間は勤続12年以上で12週間、オーストラリアは5年超の4週間が上限(45歳超・勤続2年以上でさらに1週間)。ワーホリの1年ならどちらも基本は1週間で、豪州には「通知に代わる支払い」という形もあります。
雇用を終わらせるときの通知期間|英国の12週と、豪州の4週

時給が高い仕事ほど、英語のハードルが上がります。最低賃金より上を狙うなら、その差は語学力で埋めることになります。

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残業代は「いらない」と言っても消えません
BC州は「従業員が残業代を請求しないことに同意した場合であっても、雇用主は支払わなければならない」と明記しています。ただし基準は州で違い、週の閾値はBC州40時間・アルバータ44時間。BC州には1日12時間超で2倍の規定もあります。2州の残業規定を比べるで整理しました。

よくある質問

英国では週に何時間まで働けますか?

GOV.UKは「あなたは平均して週48時間を超えて働くことはできません。通常は17週間で平均します」としています。重要なのは「平均」という点で、ある週に多く働いたことだけで直ちに上限を超えたことにはならず、17週間ならして判断されます。繁閑の差が大きい業種を想定した設計です。ただし18歳を超えていれば、この上限を「オプトアウト」によって外すことができるとされています。オプトアウトは自発的であり、かつ書面によるものでなければなりません。なお17週間の平均の具体的な計算方法や、上限が適用されない職種の例外については本記事では扱っていません。

オプトアウトを断ることはできますか?

できます。GOV.UKは「あなたの雇用主はオプトアウトを求めることができますが、拒否したことを理由に解雇されたり、不当な扱いを受けたりすることはありません」と明記しています。制度は「求めることはできる」「しかし断ってもいい」「断ったことで不利益を受けてはならない」という3段構えになっています。またオプトアウトの条件として「自発的であること」「書面によること」が示されており、口頭での合意や暗黙の了解は想定されていません。ワーキングホリデーで働く場合、言葉に不安があり立場が弱いと感じる状況では断りにくくなりますが、法がこの保護を明記していることを知っているかどうかで判断の余地が変わります。

英国の休憩は何分ありますか?

GOV.UKは「労働者は、1日6時間を超えて働く場合、中断されない20分の休憩を1回取る権利があります」としています。「中断されない(uninterrupted)」という条件が付いているため、5分ずつ4回に分けて合計20分という形は想定されていません。まとまった20分です。基準は1日6時間を超えるかどうかで、6時間ちょうどなら対象外、6時間を超えれば対象という線引きになります。シフト制の仕事では、この6時間が実務上の分かれ目になります。なおこの休憩が有給か無給か、18歳未満の若年労働者に対する別の規定については本記事では扱っていません。

ニュージーランドの休憩はどのくらいですか?

Employment New Zealandは「休憩(rest break)は最低10分、食事休憩(meal break)は最低30分でなければなりません。従業員は休憩について有給で支払われ、食事休憩は無給です」としています。具体例として「8時間の勤務時間中は、10分の有給休憩を2回と、30分の無給食事休憩を1回取る権利があります」と示されています。10分の休憩に賃金が発生する点は見落とされやすい部分です。また計算の基準となる「勤務時間(work period)」は「従業員が仕事を始めた時点から仕事を終える時点までの期間で、有給・無給を問わず認められたすべての休憩を含む」と定義されています。

契約書に「休憩なし」と書かれていたらどうなりますか?

ニュージーランドについては明確です。Employment New Zealandは「休憩を取る従業員の最低限の権利、または代償措置を取り除いたり減らしたりする雇用契約の条項は、効力を持たず、雇用主が執行することはできません」と記載しています。つまり契約書に書かれていても、その条項自体が無効ということです。署名したかどうかは関係ありません。これは英国の週48時間上限が「本人の同意で外せる」のとは対照的で、放棄できる権利と放棄できない権利の違いにあたります。なお休憩の権利はカジュアル労働者にも常用の従業員と同じく適用されるとされています。

カジュアルやシフト勤務でも休憩の権利はありますか?

ニュージーランドについては、休憩の権利は従業員に広く適用され、カジュアル労働者も常用の従業員と同じ休憩の権利を持つとされています。「単発のシフトだから休憩はない」という理解は正しくありません。英国についても、休憩の権利は「労働者(worker)」に対するものとして規定されています。ただし国によってカジュアル雇用の扱いは大きく異なり、たとえばオーストラリアのカジュアルには年次有給休暇がない代わりに時給に25%が上乗せされるという設計です。同じ「カジュアル」という言葉でも、国が変われば中身が変わる点に注意が必要です。

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本記事の制度・条件・金額は執筆時点で公開情報を確認したものです(確認日:2026年8月8日)。制度や料金は変更される場合があるため、実際の手続き・申請の前に各機関の公式情報を必ずご確認ください。本記事は法的・専門的な助言ではなく、特定の結果を保証するものではありません。