ワーホリ先で消費税は戻るのか——4か国のうち3か国で廃止された制度

【2026年版】ワーホリ4か国の消費税還付|制度が残るのは1か国だけ

「海外で買い物をすると消費税が戻ってくる」——この認識は、ワーキングホリデーの4か国では、ほぼ通用しません。

ニュージーランド税関は「ニュージーランドで購入した商品についてGSTの還付を受けることはできません」と明記しています。

英国は2021年1月1日にVAT小売輸出スキームを廃止しました。カナダは2007年4月1日にビジター還付プログラムを廃止しています。

4か国で制度が残っているのは、オーストラリアだけです。そしてそのオーストラリアにも、ワーキングホリデーの人が見落としやすい落とし穴があります。

この記事では、各国の税関・税務当局の公式資料から、制度の現状と条件を整理します。

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先に、4か国を並べます

出国時の消費税還付状況
オーストラリアあり(TRS)GSTの1/11が対象。条件は厳格
ニュージーランドなし税関が「還付は受けられない」と明記
カナダなし2007年4月1日に廃止
英国なし(英本土)2021年1月1日に廃止。北アイルランドは別

「タックスフリー」という言葉から想像する仕組みは、4か国中3か国ですでに存在しません。そして残る1か国も、条件を満たさなければ使えません。1か国ずつ見ていきます。

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オーストラリア:制度は残っている。ただし条件が細かい

TRS(Tourist Refund Scheme)の条件

オーストラリア税務局(ATO)は、TRSについて「オーストラリアを出国する旅行者は、内務省とその実施機関であるオーストラリア国境警備隊(ABF)が運営する観光客還付制度(TRS)に基づき、GSTまたはWETの還付を受けることができます」と説明しています。
そして還付を受けるための要件が列挙されています。 そして時間の条件があります。「TRS窓口での請求は、空港では定刻出発時刻の少なくとも30分前まで、クルーズの場合は60分前までに行ってください」。
還付額はGST分です。ATOは別ページで「GSTはオーストラリアに関連する売上について請求する金額の11分の1です」としています。つまりAUD$330の買い物なら、対象となるGSTは約AUD$30という計算になります。
対象にならないもの
ATOは、除外されるものも明記しています。
  • 宿泊などのサービスには適用されません
  • GST免税の商品は還付の対象になりません(GSTを払っていないため)
  • 航空機または船舶の乗務員は、この制度に基づく還付を請求する資格がありません
「サービスは対象外」は見落としやすい部分です。ホテル代、ツアー代、飲食代は含まれません。対象は「持ち出す物」に限られます。
そして「単一の事業者でAUD$300以上」という条件も、実務上はきつい線です。複数の店で少しずつ買っても合算できません。同じABNの事業者で、合計AUD$300を超える必要があります。
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ワーホリが引っかかりやすい落とし穴

還付を受けた品を持って戻ると、申告義務が生じます
ここが、旅行者向けの解説では触れられにくい部分です。ATOは次のように記載しています。
「あなた自身または他の人がTRSの請求を行った商品をオーストラリアに持ち帰る場合、その商品を申告しなければなりません。オーストラリアに戻る際、入国旅客カードの質問3で申告することができます」。
そして「他の免除が適用されない限り、オーストラリアに持ち帰る商品についてGSTを支払う必要が生じる場合があります。これは、それらの商品の価額が、他の免除が適用されない輸入品と合算して、旅客免税枠を超える場合に起こります」とされています。
さらに「申告を怠った場合、罰則が適用される可能性があります」と明記されています。
なぜこれがワーキングホリデーで問題になるのか。ワーホリの滞在中に、近隣国へ短期旅行して戻ってくる人は珍しくありません。その出国時にTRSで還付を受け、同じ品を持って再入国すれば、この申告義務がそのまま発生します。
「出国するときに還付を受けられる」は正しい説明ですが、「戻ってこない前提」の説明です。滞在の途中で使うと、話が変わります。
本記事では、旅客免税枠の金額、免除が適用される具体的な条件、罰則の内容については扱っておらず、判断も示していません。該当可否は個別の事情によって判断されます。ABFおよびATOの案内で必ずご確認ください。
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ニュージーランド:制度そのものがありません

税関が明記しています

ニュージーランド税関(New Zealand Customs Service)は、出国に関する案内の中で、はっきりこう書いています。
「ニュージーランドで購入した商品について、GSTの還付を受けることはできません」。
そのうえで、GSTを払わずに買う方法が3つ示されています。 つまり「買ってから戻す」のではなく、「最初から課税されない形で買う」しかない設計です。
そして3つ目の方法は、事前の手配が必要です。出国当日に思いついてできるものではありません。

代わりに知っておく価値があるもの:輸出証明

還付の話とは別に、ニュージーランド税関は持ち出した物を持ち帰るときの制度を案内しています。

「高価な機材(ラップトップやカメラなど)を持ってニュージーランドを出国し、それを持ち帰りたい場合、輸出証明(Certificate of Export)を取得できます。これにより、その品をニュージーランドへ持ち帰るのが簡単になります。取得しない場合、その品について関税やGSTを支払わなければならない可能性があります」。

条件も示されています。「その品は、たとえばシリアル番号などで一意に識別できるものでなければなりません」。「出国前に、税関事務所へその品を提示してください。出発地に税関事務所がない場合もあるため、事前に確認してください」。

ワーキングホリデーの滞在中に近隣国へ旅行する場合、ここが効いてきます。パソコンやカメラを持って一時出国し、戻ってきたときに「これはニュージーランドで買ったものではないか」と問われる可能性があるからです。

もうひとつ、現金の申告もあります。「NZ$10,000以上の現金または外貨相当額を持っている場合、国境現金報告書(Border Cash Report)を提出しなければなりません」。帰国時にまとまった現金を持ち出す場合は、この線を超えていないか確認する項目になります。

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英国:2021年に廃止されました

英本土では受けられません
英国政府は、VAT小売輸出スキーム(VAT Retail Export Scheme)を2021年1月1日に廃止しました。EU離脱の移行期間終了に合わせた措置です。
「海外からの訪問者は、グレートブリテンで購入して手荷物で持ち帰る品について、VATの還付を受けることができなくなります」とされています。グレートブリテンとは、イングランド・スコットランド・ウェールズを指します。
ただし北アイルランドは扱いが異なります。北アイルランドの小売業者から購入する、北アイルランドとEUの双方の域外からの訪問者については、制度が継続しているとされています。
また、代替として残っている方法もあります。「小売業者は、店舗で購入し、海外の住所へ直接配送する非EU圏の訪問者に対して、引き続きVAT非課税での販売を提供できます」。
つまり英国でも「持ち帰る」形では戻らず、「送る」形なら課税されない、という構造です。ニュージーランドと同じ考え方になっています。
英国政府は廃止の理由も説明しています。VAT小売輸出スキームについて「グレートブリテン全体に等しく利益をもたらすわけではない高コストの減免であり、現在の利用はロンドンに大きく集中しており、濫用と不正が起きやすい」という趣旨の説明がなされています。
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カナダ:2007年に廃止されました

置き換えられた制度は、観光客個人向けではありません

カナダ歳入庁(CRA)の資料によれば、2007年4月1日にビジター還付プログラム(Visitor Rebate Program)が廃止され、外国会議・ツアー奨励プログラム(FCTIP)が導入されました。

そして「カナダへの非居住訪問者である場合、カナダで行った購入について支払ったGST/HSTの還付を請求することはできません」とされています。

後継のFCTIPは、対象が限定されています。外国会議の主催者、非居住の出展者、ツアーパッケージを購入する非居住者などが対象で、一般の旅行者が店で買った品の還付を受けるための制度ではありません。

カナダは州によって税率も税の種類も異なります。GSTのみの州、HST(統合売上税)の州、州売上税が別にある州。ですが「出国時に戻る」という仕組みは、いずれの形でも一般の訪問者には用意されていません。

本記事では、FCTIPの対象要件、州ごとの税率、ツアーパッケージ還付の条件については扱っておらず、判断も示していません。

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3か国で廃止された、という事実の読み方

制度は縮小の方向にあります

時系列で並べると、方向がはっきりします。カナダ2007年、英国2021年。そしてニュージーランドにはもともとありません。

英国政府が示した理由——「高コスト」「利用が一部地域に集中」「濫用と不正が起きやすい」——は、制度の性質そのものを指しています。手続きの確認に人手がかかり、恩恵を受けるのが観光地に偏り、不正の余地がある。この3つは、どの国の同種の制度にも当てはまります。

だから「今あるから今後もある」とは限りません。オーストラリアのTRSも、渡航時点で条件を確認する対象です。

そして実務的な結論はこうなります。買い物の予算を組むとき、「あとで税が戻る前提」で計算しないほうが安全です。戻る国は1つで、しかも条件があり、サービスは対象外だからです。

お金まわりの計算は、他にも渡航前にしかできない部分があります。住民税と社会保険の判断送金手段の選択現地口座の開設いずれも順番を間違えると戻せません。

買い物の前に、確認する3つ

「海外で買い物をすれば消費税が戻る」という前提は、ワーキングホリデーの主要4か国では成り立ちません。ニュージーランドは制度そのものがなく、カナダは2007年、英国は2021年に廃止しています。

残るオーストラリアのTRSも、同一事業者でAUD$300以上、出国前60日以内、機内持ち込み、出発30分前まで——という条件が並びます。そしてサービスは対象外です。

さらに、滞在の途中で一時出国して戻る人にとっては、還付を受けた品の申告義務という別の論点が発生します。「出国時に戻る」制度は、戻ってこない前提で設計されているからです。

予算を組むときは、還付を計算に入れないほうが安全です。入れなくても済むように組んでおけば、戻ったときだけが得になります。

この記事について:運営者はカナダで12ヶ月、米国で半年を過ごしましたが、オーストラリア・ニュージーランド・英国には渡航していません。また本記事の制度に関する記述は、個人の記憶ではなく各国の税関・税務当局の公式資料をもとに整理したものであり、実際に還付手続きを行った記録ではありません。
出典は、オーストラリア税務局(ATO)「Tourist refund scheme」「How GST works」、ニュージーランド税関「Leaving New Zealand」、英国政府(GOV.UK)「Revenue and Customs Brief 21 (2020): withdrawal of the VAT Retail Export Scheme and the tax-free shopping concession」、カナダ歳入庁(CRA)の外国会議・ツアー奨励プログラム(FCTIP)関連資料です(いずれも2026年8月時点で確認)。
本記事では、オーストラリアの旅客免税枠の金額と免除条件、申告を怠った場合の罰則の内容、TRS窓口の設置空港、還付金の受取方法と所要期間、北アイルランドの小売輸出スキームの詳細な要件、カナダのFCTIPの対象要件と州ごとの税率、各国の免税店での購入条件については扱っておらず、判断も示していません。該当可否は個別の事情によって判断されます。
また、ここで挙げた4か国以外の国には、別の制度が適用されます。欧州各国やアジア各国には、条件の異なる還付制度が存在する場合があります。
制度・金額・条件・期限は変更されます。本記事で示したとおり、この分野の制度は廃止の実例が複数あります。渡航前および購入前に、必ず各国の税関・税務当局の公式ページで最新の情報をご確認ください。本記事は税務上の助言ではありません。個別の判断については税務の専門家にご相談ください。

税の手続きは、期限と居住者判定で結果が変わります。そして書類の多くは現地でしか取れません。帰国後に気づいても、取り直せないものが混じります。

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税関は「入国(帰国)後は別送品の申告はできません」と明記しています。確認印の再発行も不可。申告書2通は、その日にしか出せません。

別送品の申告|発送時の表示・申告書2通・6か月の期限

よくある質問

ワーホリ先で買い物をすると消費税は戻ってきますか?

主要4か国のうち、出国時の還付制度が残っているのはオーストラリアだけです。ニュージーランド税関は「ニュージーランドで購入した商品についてGSTの還付を受けることはできません」と明記しています。カナダは2007年4月1日にビジター還付プログラムを廃止し、英国は2021年1月1日にVAT小売輸出スキームを廃止しました(北アイルランドは扱いが異なります)。制度は変更されるため、渡航前に各国の税関・税務当局の公式ページでご確認ください。

オーストラリアのTRSの条件を教えてください。

オーストラリア税務局によれば、同一のオーストラリア事業者番号(ABN)を持つ単一の事業者からの購入で合計AUD300以上(GST込み)であること、出国前60日以内に購入した商品であること、原本の税務インボイスを持っていること、旅行する本人が代金を支払っていること、機内持ち込み手荷物として携行または着用すること(大型のものや航空保安上の理由で預け入れが必要な場合を除く)、出国時にTRS窓口で税務インボイス・商品・パスポート・搭乗券を提示することが要件とされています。請求は空港では定刻出発の30分前まで、クルーズでは60分前までとされています。

宿泊費やツアー代も還付の対象になりますか?

オーストラリア税務局は「宿泊などのサービスには適用されません」と明記しています。また、GST免税の商品はGSTを支払っていないため還付の対象にならないとされ、航空機または船舶の乗務員も請求資格がないとされています。対象は持ち出す物に限られます。

還付を受けた商品を持ってその国に戻る場合はどうなりますか?

オーストラリアの場合、税務局は「自分または他の人がTRSの請求を行った商品をオーストラリアに持ち帰る場合、その商品を申告しなければなりません」とし、入国旅客カードの質問3で申告するよう案内しています。他の免除が適用されない限り、旅客免税枠を超える場合はGSTの支払いが生じる可能性があり、申告を怠った場合は罰則が適用される可能性があるとされています。滞在中に一時出国して戻る予定がある場合は、この点をご確認ください。

ニュージーランドで税金を払わずに買う方法はありますか?

ニュージーランド税関は、GSTを払わずに購入する方法として、免税店で購入する、小売業者・供給業者に商品を輸出してもらう、小売業者・供給業者にエアサイド(税関と保安検査を通過した後の国際線ターミナル内など)へ配達してもらう、の3つを挙げています。いずれも購入後に還付を受けるのではなく、最初から課税されない形で購入する方法です。

パソコンやカメラを持って一時出国し、また戻る場合の注意点はありますか?

ニュージーランド税関は、高価な機材(ラップトップやカメラなど)を持って出国し持ち帰りたい場合、輸出証明(Certificate of Export)を取得できると案内しています。取得しない場合、その品について関税やGSTを支払わなければならない可能性があるとされています。その品はシリアル番号などで一意に識別できる必要があり、出国前に税関事務所へ提示することが求められます。出発地に税関事務所がない場合もあるため、事前の確認が案内されています。

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本記事の制度・条件・金額は執筆時点で公開情報を確認したものです(確認日:2026年8月16日)。制度や料金は変更される場合があるため、実際の手続き・申請の前に各機関の公式情報を必ずご確認ください。本記事は法的・専門的な助言ではなく、特定の結果を保証するものではありません。