「危ないからやめなさい」に「大丈夫だよ」で返すと、話は平行線のまま終わります。
そして正直に書くと、「大丈夫」は事実として弱い返しです。
外務省の海外安全ホームページには、ワーキング・ホリデー渡航者向けのページがあります。そこにはこう書かれています。「ワーキング・ホリデー制度を利用して海外に渡航される方々が事件・事故に遭うケースが大変増えています」。
理由も説明されています。「滞在期間が長いこと、他のビザと比べて行動の幅が広いことなどから、短期の海外旅行と比べ、トラブルに遭う機会が必然的に多くなっているのが現実です」。
つまり心配している側の直感は、外れていません。この記事では、それを前提にしたうえで「何を話すと前に進むのか」を整理します。
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まず、心配は妥当だと認めるところから
「危ない」と言われたときに「そんなことない」と返すと、次に出てくるのは別の心配です。治安、お金、就職、体調。1つ潰すたびに次が出てくる構造になります。
これは相手が意地悪だからではありません。心配の中身が具体的でないから、言葉にするたびに形が変わるだけです。
だから最初にやるのは、心配を否定することではなく、具体的にすることです。
そして外務省の資料は、この作業にそのまま使えます。政府が「被害が増えている」と書いている以上、「心配は大げさだ」という前提を置く必要がありません。資料を一緒に見て、どれが自分に起こり得るかを1つずつ潰していくほうが早く進みます。
外務省が挙げているトラブルの類型
ワーホリ渡航者向けの資料に書かれていること
外務省が公開している「ワーキング・ホリデー査証(ビザ)で渡航される皆様へ」には、具体的な事例が類型ごとに並んでいます。- 窃盗——「B&B/バックパッカーズ、ユースホステル、ゲストハウスなどで就寝中又は外出中に貴重品等を盗難に遭った」「車上荒らし」「レストランやバーでのバッグ等の置き引き」「観光地などで記念写真や見学の最中が狙われやすい」
- 強盗・詐欺——「夜間、イヤホンで音楽を聴きながら人気の少ない道路を一人歩きしていたら、財布の入ったバッグを引ったくられた」「SNS上で知り合った、会ったことがない人物からの儲け話でお金を騙し取られた」「自称私服警官(偽警官)に、捜査で所持品検査が必要と言われ、財布を渡したら現金を抜き取られていた」
- 交通事故——「レンタカーで追突事故を起こし、同乗者にもケガを負わせてしまった」「繁華街を歩行中に自転車と衝突し、脳挫傷で手術を余儀なくされた」「バイクでツーリング中に、歩行者をはね、重傷を負わせてしまい、自らも負傷した」
- 麻薬——「友人宅で大麻を勧められ、断り切れず吸引したところ、警察に逮捕された」「友人に誘われたパーティーで参加者全員が大麻を吸引していたところ、警察に踏み込まれて逮捕された」
ここを読むと、心配の輪郭がはっきりします。「なんとなく危ない」ではなく、宿での盗難、夜道の一人歩き、SNS経由の話、車と自転車、そして薬物。この5つです。 あわせて読みたい休学してワーホリに行くべきか|在籍料で決める判断のしかた休学中も在籍料が発生する大学は多く、休学は学費ゼロの期間ではありません。在籍料と卒業1年遅れという二重のコストを払う価値
「音信不通」は、実際に大使館の案件になっています
同じ資料の「こんなトラブルも」の項目に、次の記載があります。
「●音信不通 何日も連絡がとれないとして、日本の家族から現地の大使館・総領事館に安否確認の照会がくることがあります。日本の家族には、こまめに連絡し、大使館や総領事館に『在留届』を提出して下さい」。
つまり「連絡が取れない」は、実際に外務省が対応している事案です。親の心配は、抽象的な不安ではなく統計に載る種類の出来事だということになります。
そして対策も同じ資料に書かれています。「こまめに連絡し」「在留届を提出」。
これは家族と話すときに、そのまま約束にできます。「週に1回、日曜に連絡する」のように頻度を決めておくと、連絡が途切れたこと自体が異常のサインになります。
逆に頻度を決めていないと、「3日連絡がない」が普通なのか異常なのか、日本側では判断できません。心配する側が判断できないと、不安は減りません。
在留届は、家族のための制度でもあります
出す側の義務でありながら、届く先は家族の安心です
外務省は「外国に住所又は居所を定めて3か月以上滞在する場合、旅券法第16条により、住所又は居所を管轄する日本国大使館又は総領事館(在外公館)に『在留届』を提出する義務があります」としています。オンライン(ORRネット)で提出できます。
そして安全対策の資料には「在留届を提出し、大使館・総領事館からの領事メール等で最新情報を入手」とあります。
在留届を出しておくと、災害や事件のときに在外公館が所在を把握できる状態になります。家族から安否確認の照会が来たときの起点にもなります。
だから「在留届は出す」と伝えることは、心配への具体的な回答になります。「気をつける」より情報量があります。
そしてこの届出は、在外選挙人名簿への登録にも連動します。出国前に申請していた場合、在留届を出さないと登録が完了しません。1つの手続きで2つ片づきます。
あわせて読みたいおすすめ退職代行 toNEXTユニオン|ワーホリ向け3類型の違いと選び方辞められないと感じたとき。まず公的窓口という順序外務省が挙げる対策は4つです
短くて、覚えやすい形になっています
同じ資料の「トラブルに巻き込まれないために」には、次の4つが並んでいます。- 他人を無条件に信用しない(「NO」と言う勇気を)
- 「ながらスマホ」(イヤホンを装着しての歩行等)はやめる
- 麻薬には絶対に手を出さない
- 在留届を提出し、大使館・総領事館からの領事メール等で最新情報を入手
そしてこれは英語力の問題でもあります。強く断る、理由を言わずに離れる、その場から抜ける。言い回しを知らないと、曖昧に流されます。盗難・詐欺への備えで扱ったとおり、備えは警戒心より「分散」と「言える言葉」です。
4つ目については、資料にこう添えられています。「日本大使館や総領事館は、日本語で相談できます!」。これも家族に伝える価値がある一文です。「困ったら日本語で相談できる窓口が現地にある」という事実は、心配を減らします。 あわせて読みたい会社を辞めてワーホリへ|退職の申し出方と給与の請求方法民法627条は期間の定めのない雇用について解約の申入れから2週間で終了すると定めています。労働基準法23条により退職時は
もう一つの心配:お金と、帰ってきた後
治安の次に来るのが、この2つです
治安の話が具体的になると、次に出てくるのは費用と就職です。そしてこちらは、数字で答えられます。
費用——見積もりの取り方で扱ったとおり、各社の見積もりは「どこまでを含めるか」が違います。同じ条件で複数社に出してもらうと、含まれていない項目が浮かび上がります。総額を紙で見せられると、話の性質が変わります。
帰国後——評価されるかどうかの記事で扱ったとおり、「1年海外にいた」だけでは伝わりません。逆に言えば、渡航前から「帰ってきて何をするか」を言葉にしておけば、それ自体が答えになります。
ここで効くのは、第三者を挟むことです。親と2人で話していると、どうしても感情の応酬になります。エージェントの無料カウンセリングに一緒に行く、という形を取ると、費用も手続きも第三者の口から説明されます。
本記事では、どのエージェントが良いかの判断は示しません。口コミの読み方で扱ったとおり、確かめる方法は同じ質問を複数社に投げることです。
あわせて読みたいワーホリの持ち物リスト|必需品60と不要15の選び方ワーホリ・留学持ち物リスト完全版運営者カナダ12ヶ月実体験で「絶対必要60項目」「持って行けばよかった20項目」「不要だ話す順番を決めておく
材料を揃えてから話すほうが早い
- ①外務省の資料を一緒に見る——「被害が増えている」と政府が書いていることを共有します。否定から入らないための起点です
- ②連絡の頻度を決める——「音信不通」は外務省が挙げている事案です。頻度を決めれば、途切れたこと自体がサインになります
- ③在留届を出すと伝える——3か月以上の滞在では義務であり、在外公館が所在を把握する起点になります
- ④総額を紙で見せる——複数社の見積もりを並べると、含まれていない項目が見えます
- ⑤帰国後にやることを1行で言う——決まっていなくても、考えている軸を言葉にしておきます
話す前に、確認する3つ
- ①外務省の資料を読んだか:「ワーキング・ホリデー渡航者のトラブル事例と安全対策」に類型が並んでいます
- ②連絡の頻度を決めたか:外務省は「日本の家族には、こまめに連絡し」と明記しています
- ③在留届の提出を予定に入れたか:3か月以上の滞在では旅券法第16条による義務です
「危ないからやめなさい」に「大丈夫だよ」で返しても、話は進みません。そして外務省自身が「事件・事故に遭うケースが大変増えています」と書いている以上、「大丈夫」は事実として弱い返しです。
代わりにできるのは、心配を具体的にすることです。宿での盗難、夜道の一人歩き、SNS経由の儲け話、車と自転車、薬物。外務省の資料には、この5つが事例として並んでいます。
そして「音信不通」は、日本の家族から在外公館に照会が来る実際の事案です。だから連絡の頻度を決めることは、感情的な配慮ではなく安全対策そのものになります。
心配を消すことはできません。ですが「何が起こり得るか」と「そのとき何をするか」を共有すれば、話し合いの形は変わります。反対と説得の応酬から、準備の相談に変わります。
この記事について:運営者はカナダで12ヶ月、米国で半年を過ごしました。ただし本記事は家族との話し合いに関する個人的な体験を書いたものではなく、外務省の公表資料をもとに「何を材料にできるか」を整理したものです。
出典は、外務省 海外安全ホームページ「ワーキング・ホリデー制度による渡航者へのご注意」および同「ワーキング・ホリデー査証(ビザ)で渡航される皆様へ ~安全な渡航・滞在のために~」、外務省「ワーキング・ホリデー制度」です(いずれも2026年8月時点で確認)。
本記事では、渡航者が被害に遭った件数・割合などの統計、国別の治安の比較、個別の家庭の事情に応じた話し方、家族の同意が得られない場合の対応については扱っておらず、判断も示していません。外務省の資料は「増えています」と記載していますが、本記事では具体的な件数を確認していないため、数値は示していません。
また、本記事は渡航を勧めるものでも、思いとどまることを勧めるものでもありません。判断は本人と家族が行うものです。
安全に関する情報は状況によって変わります。渡航前および滞在中は、外務省 海外安全ホームページの最新の情報、および渡航先の危険情報をご確認ください。現地でトラブルに遭った場合は、外務省の資料に「日本大使館や総領事館は、日本語で相談できます」と案内されているとおり、最寄りの在外公館にご相談ください。
留学の費用は、学費より「学費以外」で外れます。滞在費、保険、渡航費、現地での初期費用。そして各社の見積もりは、どこまでを含めるかが違います。同じ条件で3社に出してもらうと、含まれていない項目が浮かび上がります。
① 段取りごと相談する|留学ジャーナル
40年以上の実績で、豪州・カナダ・NZ・英国・アイルランドすべてに対応とされています。手続きの順番は国によって違うため、渡航先が決まった時点で一度確認しておくと手戻りが減ります。資料請求・カウンセリングは無料です。
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② 2社目の見解を取る|ラストリゾート
ワーホリ・語学留学の取り扱いが幅広く、資料請求・セミナー・カウンセリングと入口が分かれています。1社の説明が妥当かどうかは、2社目を並べたときに分かります。
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③ 3社目として|ISS留学ライフ
Z会グループが運営しています。同じ条件で3社に見積もりを取ると、金額の幅と各社が何を含めているかが見えます。
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厚労省の麻薬取締部は、携帯輸出入の許可について「渡航先の外国における持込みを保証するものではありません」と明記しています。日本側と渡航先側は別々の制度で、日本の申請期限は出国日の2週間前まで。英国・豪州はいずれも3か月分が上限です。薬の持ち込み手続きで整理しました。
よくある質問
親に反対されたとき、どう説明すればよいですか?
本記事では「大丈夫だよ」と否定から入るのではなく、心配を具体的にすることを勧めています。外務省の海外安全ホームページには「ワーキング・ホリデー制度を利用して海外に渡航される方々が事件・事故に遭うケースが大変増えています」と記載があり、政府自身が注意を促しています。この資料を一緒に見て、どの類型が自分に起こり得るかを1つずつ確認していくほうが、話が前に進みます。
外務省はどんなトラブルを挙げていますか?
外務省の資料「ワーキング・ホリデー査証(ビザ)で渡航される皆様へ」では、窃盗(宿泊施設での就寝中・外出中の盗難、車上荒らし、レストランやバーでの置き引き、観光地)、強盗・詐欺(夜間のイヤホン歩行中のひったくり、SNSで知り合った人物からの儲け話、偽警官による所持品検査)、交通事故(レンタカーの追突、繁華街での自転車との衝突、バイクでの人身事故)、麻薬(友人宅やパーティーでの大麻吸引による逮捕)が類型として挙げられています。またオペア(住み込み外国人労働者)の賃金・待遇のトラブルやセクハラ問題にも触れられています。
連絡の頻度は決めておいたほうがよいですか?
外務省の資料には「音信不通」という項目があり、「何日も連絡がとれないとして、日本の家族から現地の大使館・総領事館に安否確認の照会がくることがあります。日本の家族には、こまめに連絡し、大使館や総領事館に『在留届』を提出して下さい」と記載されています。頻度を決めておくと、連絡が途切れたこと自体が異常のサインになります。逆に決めていないと、日本側で正常か異常かを判断できません。
在留届は出す必要がありますか?
外務省は「外国に住所又は居所を定めて3か月以上滞在する場合、旅券法第16条により、住所又は居所を管轄する日本国大使館又は総領事館(在外公館)に『在留届』を提出する義務があります」としています。オンライン(ORRネット)で提出できます。安全対策の資料でも「在留届を提出し、大使館・総領事館からの領事メール等で最新情報を入手」と案内されています。また在外選挙人名簿への登録にも連動します。
外務省が挙げている対策は何ですか?
4つです。「他人を無条件に信用しない(『NO』と言う勇気を)」「『ながらスマホ』(イヤホンを装着しての歩行等)はやめる」「麻薬には絶対に手を出さない」「在留届を提出し、大使館・総領事館からの領事メール等で最新情報を入手」。また資料には「日本大使館や総領事館は、日本語で相談できます!」とも記載されています。
費用や帰国後のことを心配された場合は?
本記事では、費用は複数社の見積もりを同じ条件で取って総額を紙で示すこと、帰国後については「何をするか」を渡航前に言葉にしておくことを挙げています。また親と2人だけで話すと感情の応酬になりやすいため、エージェントの無料カウンセリングに一緒に行き、費用と手続きを第三者から説明してもらう形も選択肢として挙げています。なお本記事では、どのエージェントが良いかの判断は示しません。
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