ワーホリのために会社を辞める|民法627条の2週間と、労基法23条の7日

会社を辞めてワーホリへ|退職の申し出方と給与の請求方法

ワーキングホリデーに行くために会社を辞める。このとき、押さえておくと動きが変わる数字が2つあります。

ひとつは「2週間」。民法627条は、期間の定めのない雇用について、解約の申入れから2週間を経過することで雇用が終了すると定めています。

もうひとつは「7日」。労働基準法23条は、退職の場合に権利者の請求があれば、請求を受けた日から7日以内に賃金を支払い、労働者の権利に属する金品を返還しなければならないとしています。

この7日が、渡航直前にきいてきます。出発日が給料日より前でも、請求すれば給料日を待たずに受け取れる可能性があるということです。

この記事では、退職にまつわる制度を公的資料から整理します。会社との関係をどうするかは各自の判断ですが、判断の材料は先に持っておく価値があります。

先に、3つの条文を並べます

根拠内容
民法627条期間の定めのない雇用は、解約の申入れから2週間の経過で終了
労働基準法23条退職時、権利者の請求があれば請求から7日以内に賃金の支払いと金品の返還
労働基準法22条退職者が請求すれば、遅滞なく証明書を交付しなければならない
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民法627条:申し出から2週間

期間の定めのない雇用が前提です

民法627条は、期間の定めのない雇用契約について、当事者が解約の申入れをした場合、その申入れから2週間を経過することで雇用が終了すると定めています。

いわゆる正社員のように、契約期間が定められていない雇用がこれに当たります。有期契約(契約社員など)は別の扱いになるため、自分の雇用契約がどちらかを確認してください。

ここで実務上よく問題になるのが、就業規則との関係です。多くの会社の就業規則には「退職は1か月前までに申し出ること」といった規定があります。この規定と民法627条の関係については法的な議論があり、本記事では判断を示しません。

ただし、はっきり言えることがあります。民法にこの条文が存在する以上、「一生辞められない」という状態は制度上想定されていないということです。

そして実務的には、就業規則の期間を守って申し出るほうが円満に進みます。ワーキングホリデーは渡航日が先に決まることが多いため、逆算して早めに伝えるのが結果的にいちばん楽です。

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労基法23条:請求から7日以内に支払われます

渡航日と給料日がずれる場合に効きます
労働基準法23条は、「使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があった場合においては、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金その他名称のいかんを問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない」と定めています。
厚生労働省の労働局による解説では、この規定の意味がこう説明されています。「賃金は通常、締切り日・支払日が決められ、決められた支払日に支払うことでよいのですが、労働者の退職、死亡の場合には、この規定により、支払日までも権利者からの請求があれば、支払日に関係なく、請求のあった日から7日以内に支払わなければなりません」。
ここがワーキングホリデーの実務に直結します。
たとえば月末締め・翌月25日払いの会社を、3月末で辞めて4月10日に出発するとします。通常なら最後の給与は4月25日。出発後です。
ですがこの規定によれば、請求すれば7日以内という扱いになり得ます。日本の口座に入るとしても、出発前に着金を確認できるかどうかは、渡航資金の管理に影響します。
そして対象は賃金だけではありません。「積立金、保証金その他名称のいかんを問わず、労働者の権利に属する金品」とされています。社内預金や、預けている私物もこの範囲に含まれ得ます。
本記事では、何が「労働者の権利に属する金品」に当たるかの個別判断、退職金の扱い、請求の具体的な方法については扱っておらず、判断も示していません。該当するかどうかは個別の事情によります。労働基準監督署にご確認ください。
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労基法22条:証明書を請求できます

5つの事項について交付を求められます

労働基準法22条は、使用者は、労働者が退職の場合に、在職中の契約内容などについて証明書の交付を請求したときは、遅滞なく証明書を交付しなければならないと定めています。
証明すべき事項は5つです。 この5項目を見て、気づくことがあります。これは職務経歴を客観的に裏づける情報そのものです。
ワーキングホリデーから帰国したあと、あるいは現地で就職を目指すとき、「日本で何年、何をしていたか」を示す必要が出てきます。カナダの永住ルートのように就労経験の年数が要件になる制度もあります。
退職から時間が経つほど、会社に連絡を取りにくくなります。そして海外にいれば、なおさらです。辞めるときに請求しておくのが、いちばん手間がかかりません。
なお本記事では、証明書の様式、請求の方法、記載を求められない事項については扱っていません。詳しくは厚生労働省および各労働局の案内をご確認ください。 あわせて読みたいおすすめ退職代行 toNEXTユニオン|ワーホリ向け3類型の違いと選び方自分では動けない場合の選択肢。3類型でできることが違う

渡航前に受け取るもの、揃えるもの

会社から出るものを整理します

退職にあたって会社から受け取る書類は複数あります。出発してからでは取り寄せに時間がかかるため、渡航前に揃うかどうかを確認する価値があります。 これらの発行時期は会社の手続きによって変わります。とくに離職票のように、会社が手続きをしてから発行されるものは時間がかかることがあります。
そして受け取り先の住所が問題になります。海外転出届を出すと住民票が抜けます。郵送物をどこで受け取るかを決めておかないと、書類が宙に浮きます。実家を受取先にする、家族に開封を頼んでおく——といった段取りが要ります。
あわせて、同じ日に済ませられる手続きがあります。在外選挙の出国時申請は、転出届を出した日から転出予定日までしか受け付けられません。役所に行く回数を減らすなら、まとめて動くほうが確実です。 あわせて読みたい休学してワーホリに行くべきか|在籍料で決める判断のしかた休学中も在籍料が発生する大学は多く、休学は学費ゼロの期間ではありません。在籍料と卒業1年遅れという二重のコストを払う価値

失業給付は、あてにできない可能性が高いです

ワーホリは受給期間延長の理由になりません
会社を辞めて渡航する人がよく誤解するのが、失業給付です。
雇用保険の基本手当を受給できる期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。妊娠・出産・育児・疾病・負傷などで30日以上職業に就けない場合は、申請により最長3年まで延長できるとされています。
ですが厚生労働省の案内には、はっきりこう書かれています。「ただし、海外旅行や語学の勉強のための留学などは延長の理由になりません」。
1年のワーキングホリデーでは、離職から帰国までが1年を超えることが多くなります。その場合、帰国した時点で受給期間が終わっているという事態が起こり得ます。
つまり「帰国後しばらくは失業給付でつなぐ」という資金計画は、崩れる可能性があります。帰国後の就職で詳しく扱っていますが、退職を決める前に知っておくべき前提です。
受給資格の有無、必要な被保険者期間、個別の判断については本記事では扱いません。退職を決める前に、必ず居住地を管轄するハローワークにご確認ください。
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「辞めさせてもらえない」と感じたとき

先に、公的な相談先があります

退職を申し出たのに話が進まない、強く引き止められる、書類を出してもらえない——こうした状況は起こり得ます。
このとき、まず使えるのが公的な相談窓口です。 いずれも無料で相談できます。そして労働基準法22条・23条は、まさにこれらの窓口が扱う範囲です。
「言いにくい」と「言えない」は違います。制度の側には、言えない状況を想定した窓口が用意されています。まずここに事実を持ち込むのが、順序としては先です。
持ち込むときに効くのは記録です。いつ、誰に、どう伝えたか。返答は何だったか。日付と内容をメモしておくだけで、話が具体的になります。

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それでも自分では動けない場合の選択肢

順序としては、最後に検討するものです

ここまで書いてきたとおり、まずは自分で申し出ること、次に公的な相談窓口を使うことが順序です。
そのうえで、体調や職場の状況によって、どうしても自分では連絡が取れない場合があります。そうした状況に対して、退職の意思表示を代行するサービスが存在します。
利用を検討する場合、事前に確認しておくべき点があります。 3つ目は特に重要です。金銭の交渉が必要な状況では、そもそも相談すべき相手が変わる可能性があります。労働基準監督署や、弁護士などの専門家です。自分の状況がどれに当たるかを見極めてから選んでください。
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当サイトは、退職代行の利用を推奨するものではありません。まずご自身で申し出ること、次に労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談することを順序としてお勧めします。サービスの内容・費用・対応範囲は各社で異なり、変更されます。申し込み前に必ず公式ページでご確認ください。当サイトは各サービスの提供者ではなく、内容や結果を保証するものではありません。

退職を決める前に、確認する3つ

民法627条は、期間の定めのない雇用について、解約の申入れから2週間の経過で雇用が終了すると定めています。「辞められない」という状態は、制度上想定されていません。

そして労働基準法23条により、退職時は請求があれば7日以内に賃金が支払われ、労働者の権利に属する金品が返還されることになっています。渡航日が給料日より前でも、受け取れる可能性があります。

労働基準法22条の証明書は、使用期間・業務の種類・地位・賃金・退職理由の5項目。これはそのまま職務経歴の裏づけになります。海外にいると取り寄せは難しくなるため、辞めるときに請求しておく価値があります。

渡航の準備は、行き先の情報から始めがちです。ですが出発前にやり残すと取り返しにくいのは、こちらの手続きのほうです。

この記事について:出典は、民法(e-Gov法令検索)、労働基準法第22条・第23条、および厚生労働省・各都道府県労働局による解説、ならびに厚生労働省・ハローワークの雇用保険に関する案内です(いずれも2026年8月時点で確認)。
本記事では、就業規則が定める退職予告期間と民法627条の関係、有期雇用契約の途中解約、有給休暇の消化に関する取り扱い、退職金の有無と計算、「労働者の権利に属する金品」に何が含まれるかの個別判断、退職時の証明書の様式と請求方法、雇用保険の受給資格の有無、離職理由の区分については扱っておらず、判断も示していません。これらは個別の事情および契約内容によって結論が変わります。
また本記事は、特定の退職方法や退職代行サービスの利用を推奨するものではありません。退職代行サービスの法的位置づけや対応可能な範囲については本記事では扱っていません。金銭の請求や条件の交渉が必要な場合は、労働基準監督署、総合労働相談コーナー、または弁護士等の専門家にご相談ください。
法令・制度は改正されます。個別の労働問題については、必ず労働基準監督署または専門家にご相談ください。本記事は法的助言ではありません。

よくある質問

退職を申し出てから、いつ辞められますか?

民法627条は、期間の定めのない雇用契約について、当事者が解約の申入れをした場合、その申入れから2週間を経過することで雇用が終了すると定めています。いわゆる正社員のように契約期間が定められていない雇用がこれに当たり、有期契約は別の扱いになります。なお多くの会社の就業規則には「退職は1か月前までに申し出ること」といった規定があり、この規定と民法627条の関係については法的な議論があるため、本記事では判断を示していません。実務的には就業規則の期間を守って申し出るほうが円満に進みます。ワーキングホリデーは渡航日が先に決まることが多いため、逆算して早めに伝えるのが結果的に楽です。

最後の給料は給料日まで待つしかないですか?

労働基準法23条は「使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があった場合においては、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金その他名称のいかんを問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない」と定めています。厚生労働省の労働局による解説では「労働者の退職、死亡の場合には、支払日までも権利者からの請求があれば、支払日に関係なく、請求のあった日から7日以内に支払わなければなりません」と説明されています。渡航日が給料日より前になる場合、この規定が実務上効いてきます。ただし個別の該当可否については労働基準監督署にご確認ください。

退職時にもらっておくべき書類はありますか?

労働基準法22条により、退職者が請求すれば、使用者は遅滞なく証明書を交付しなければならないとされています。証明すべき事項は、使用期間、業務の種類、当該事業場における地位、賃金、退職の理由(解雇の場合はその理由を含む)の5つです。この5項目は職務経歴を客観的に裏づける情報にあたります。帰国後の転職や、就労経験の年数が要件になる海外の制度に応募する場合、こうした裏づけが必要になることがあります。退職から時間が経つほど、また海外にいるほど会社に連絡を取りにくくなるため、辞めるときに請求しておくのが手間がかかりません。

ワーホリ中に失業給付を受け取れますか?

受給期間の考え方に注意が必要です。雇用保険の基本手当を受給できる期間は原則として離職日の翌日から1年間で、妊娠・出産・育児・疾病・負傷などで30日以上職業に就けない場合は申請により最長3年まで延長できるとされています。ただし厚生労働省の案内には「ただし、海外旅行や語学の勉強のための留学などは延長の理由になりません」と明記されています。1年のワーキングホリデーでは離職から帰国までが1年を超えることが多く、帰国時点で受給期間が終わっている可能性があります。失業給付を織り込んだ資金計画は崩れる可能性があるため、退職を決める前にハローワークにご確認ください。

辞めさせてもらえない場合はどうすればいいですか?

まず公的な相談窓口があります。労働基準監督署は賃金の未払いや書類の不交付など労働基準法に関わる問題を扱い、各都道府県労働局に設置されている総合労働相談コーナーは労働問題全般の相談を受け付けています。いずれも無料です。本記事で扱った労働基準法22条・23条は、まさにこれらの窓口が扱う範囲にあたります。相談に持ち込むときは記録が効きます。いつ、誰に、どう伝えたか、返答は何だったか。日付と内容をメモしておくだけで話が具体的になります。なお金銭の請求や条件の交渉が必要な場合は、弁護士等の専門家への相談が必要になることがあります。

退職代行を使うべきでしょうか?

本記事は退職代行の利用を推奨するものではありません。順序としては、まずご自身で申し出ること、次に労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談することをお勧めします。そのうえで、体調や職場の状況によってどうしても自分では連絡が取れない場合の選択肢として存在します。検討する場合は、費用と返金の条件、どこまでを行うサービスなのか(意思の伝達なのか、条件の交渉まで含むのか)、未払い賃金や有給など金銭に関わる交渉が必要な場合の扱いを事前に確認してください。特に金銭の交渉が必要な状況では、そもそも相談すべき相手が変わる可能性があります。なお退職代行サービスの法的位置づけや対応可能な範囲については本記事では扱っていません。

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本記事の制度・条件・金額は執筆時点で公開情報を確認したものです(確認日:2026年8月8日)。制度や料金は変更される場合があるため、実際の手続き・申請の前に各機関の公式情報を必ずご確認ください。本記事は法的・専門的な助言ではなく、特定の結果を保証するものではありません。