数字から言います。留学の国選びで最も差が出るのは、英語の訛りでも治安でもありません。「働けるか」「何ヶ月学べるか」「何年いられるか」の3つです。
たとえばオーストラリアのワーキングホリデーは就学が最大4ヶ月(ビザ条件8548)、ニュージーランドは合計6ヶ月。アイルランドには学生ビザで最大2年学びながら週20時間働けるルートがあります。同じ「英語圏に留学する」でも、制度が許す形がまったく違います。
論点は1つです。あなたは国を先に決めていませんか。目的と制度の組み合わせから逆算すると、候補は自然に絞られます。
この記事は、留学したいが、どの国を選べばいいか決まっていない人に向けて書いています。
- 目的別の絞り込み
- ワーホリで行くか、学生ビザで行くか
- 2ヶ国を組み合わせるという設計
- 費用の比べ方
運営者は大学時代に米国へ半年の交換留学、卒業後にカナダで12ヶ月のワーキングホリデー(バンクーバー5ヶ月+バンフ7ヶ月)を経験しました。英語は高校で赤点20点台、渡航前のTOEICは500点台、帰国後に780点。年収は渡航前450万円から、帰国後に大手メーカーへ転職して800万円台になっています。訪問したのは米国とカナダのみで、他国は各当局の一次情報を調べてまとめています。
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この記事を書いている立場:運営者はカナダのワーキングホリデーで12ヶ月を過ごし、現地の語学学校にも通いました。ただし大学や大学院への進学を伴う正規留学、および高校留学の経験はありません。語学留学と現地生活については実体験、それ以外は公的情報と学校の公開情報に基づいて書いています。
結論:国ではなく「制度の型」から選ぶ
| 国 | 働けるか | 学べる期間の上限 | 滞在できる期間 |
|---|---|---|---|
| カナダ | ワーホリなら可(35歳まで) | ワーホリでの明確な上限は本記事では扱わない | ワーホリ最長12ヶ月 |
| オーストラリア | ワーホリなら可(30歳まで) | 最大4ヶ月(ビザ条件8548) | 12ヶ月+セカンド・サードで最長3年 |
| ニュージーランド | ワーホリなら可(30歳まで) | 合計6ヶ月 | 最長12ヶ月 |
| イギリス | YMSなら可(30歳まで) | 期間の上限が示されていない | 最長2年(日本国籍は延長不可) |
| アイルランド | ワーホリ可/学生ビザでも週20時間 | ワーホリは6ヶ月/学生ビザは長期可 | ワーホリ12ヶ月/Stamp 2で最大2年 |
| フィリピン | —(就労を伴わない語学留学が中心) | ビザの区分による | 短期〜中期 |
出典:豪内務省 Working Holiday Maker work conditions/NZ移民局 Working holiday visas/英国政府 Youth Mobility Scheme visa/アイルランド外務省・Immigration Service Delivery(確認日:2026年8月9日)。制度は変更されます。申請前に必ず各国政府の公式情報でご確認ください。
「長く学びたい」ならオーストラリアは向きません。ワーホリでは4ヶ月が上限だからです。逆に「働きながら長く学びたい」ならアイルランドの学生ビザが独特の選択肢になります。
「とにかく長く滞在したい」ならイギリスの2年ですが、費用が5ヶ国で最も重く、日本国籍者は延長できません。
国の印象ではなく、この制度の差で候補が決まります。
目的別の絞り込み
| あなたの目的 | 向いている選択 | 理由 |
|---|---|---|
| 費用を抑えて基礎を作りたい | フィリピン、または二カ国留学 | 授業料と滞在費が欧米圏より軽く、マンツーマン中心で密度が高い |
| 働いて生活費を賄いたい | ワーホリ(豪・NZ・カナダ) | 費用の性質そのものが変わる |
| 学ぶことを主目的に長く滞在したい | アイルランドの学生ビザ | 25週以上のプログラムで最大2年、週20時間の就労が可 |
| ヨーロッパを拠点にしたい | イギリス・アイルランド | 周辺国への移動が容易。ただし住居費が重い |
| 30代で行きたい | カナダ(35歳まで)または学生ビザ | 他4ヶ国のワーホリは30歳まで |
| 短期で試したい | 渡航時間の短い国 | 移動に2日かかると実質日数が減る |
運営者の視点:「行きたい国」から入ると、後から制度に引き返される
運営者はカナダを選びましたが、当時は制度の選択肢を並べて比べるということをしていませんでした。「ワーホリで行く」と決めてから調べ始めたので、他の入口を検討していないのです。
結果的にカナダは合っていましたが、これは運が良かっただけだと思っています。とくにアイルランドのように入口が2つあって滞在できる期間が倍違う国では、最初に比較しないと大きな差になります。
だから伝えたいのは順番です。①目的を1つに絞る →②その目的を制度上満たせる国を並べる →③その中から好みで選ぶ。この順番なら、渡航後に「制度上できないと分かった」という事態が起きません。
ワーホリで行くか、学生ビザで行くか
同じ国でも、どのビザで入るかで滞在の性質が変わります。国を絞ったら、次はこの選択です。
| ワーホリで行く | 学生ビザで行く | |
|---|---|---|
| 主目的 | 休暇(就学・就労は付随) | 学ぶこと |
| 就学 | 国ごとに上限あり | 長期の受講が前提 |
| 就労 | フルタイムで働ける | 制限あり、または不可 |
| 費用 | 学費は任意。収入で相殺できる | 学費が必須。収入は限定的 |
| 年齢 | 30歳まで(カナダは35歳) | 年齢の線引きが前面に出ない |
| 枠 | 抽選・先着・申請期間の制約がある国も | 枠という形の制限ではない |
たとえばアイルランドのワーキングホリデーは渡航の主目的が休暇であることが前提とされており、学習が主目的なら学生ビザを検討すべきとされています。
つまり「語学学校にしっかり通いたい」という動機が中心にあるなら、そもそもワーホリは合っていません。制度の趣旨とずれた計画は、後から無理が出ます。
2ヶ国を組み合わせるという設計
1ヶ国で完結させる必要はありません。前半を授業料の軽い国、後半を欧米圏にすると、授業時間あたりの単価を下げられます。
二カ国留学が効く条件
- 英語が初級:前半で基礎を作れるほど効果が大きい
- まとまった期間が取れる:渡航が2回になるため、短期では割に合わない
- 後半に働ける前提がある:ワーホリと組み合わせると費用構造が変わる
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費用の比べ方
国ごとの金額そのものは学校・都市・時期・為替で大きく変わるため、断定できません。比べるべきは金額ではなく構造です。
国を比べるときに揃える3つの数字
- ①月あたりの学費:総額ではなく月割り。期間が違う国を比べられるようにする
- ②月あたりの生活費:家賃+食費。都市によって国内でも大きく変わる
- ③月あたりの収入見込み:働けない国はゼロ。ここで一気に差がつく
実額の比較は5ヶ国比較の記事と留学費用の全体像で扱っています。また同じ国でも都市で大きく変わるため、都市別ガイドもあわせて確認してください。
あわせて読みたいワーホリの国選び|魅力を比べる前に、制度の条件で落としてください国選びの記事は物価や気候で比較されますが、その前に条件で落ちる国があります。年齢が31歳ならスウェーデンは対象外、家族帯国選びの前に、資金要件で候補が絞られます
国を選ぶとき、物価や気候や訛りの前に確認すべき数字があります。各国が学生ビザの条件として定めている資金要件です。
「証明できなければ発給されない額」です
カナダ移民・難民・市民権省(IRCC)は、ケベック州以外で学ぶ場合、授業料とは別に生活費として少なくとも CAN$20,635を用意しておくべきだとしています。
ニュージーランド移民局は、高等教育・語学などで1年以上なら年 NZ$20,000、1年未満なら月 NZ$1,667としています。
2か国が、独立に近い水準を出しています。どちらも日本円でおおむね年200万円前後、月17万円前後の規模です(為替により変動)。
これは相場ではありません。体験談やブログの「これくらいで行けた」という数字とは性質が違い、証明できなければビザが出ない下限です。
だから国選びの順番が変わります。「どの国が安いか」の前に、「どの国なら、証明できる資金があるか」が先に来ます。ここで落ちる国は、他の条件がどれだけ良くても候補になりません。
学生ビザには就労時間の上限があることが多く、政府が求めているのは「働いて得る予定のお金」ではなく「すでに持っているお金」の証明です。
そしてカナダの場合、証明の方法にも条件があります。IRCCは「過去4か月分をカバーする銀行取引明細書または預金通帳の写し」を求めるとしています。出発直前に一括で入金してもらった残高だけを見せる、という進め方は想定されていません。
一方、ニュージーランドには緩和の仕組みがあります。移民局は「前払いした宿泊費は差し引くことができる」としています。学校にホームステイ費用を先に払っていれば、その分は必要額から控除できるということです。
つまり同じ「資金要件」でも、国によって作り方が違います。カナダは4か月前から口座に置いておく設計、NZは先に宿を確定させることで下げられる設計。これは「いつ動き始めるか」を左右します。
なお豪州・英国にも同種の要件がありますが、本記事では金額を確認していないため記載しません。候補が絞れたら、その国の公式ページで最新額を確認してください。留学費用の全体像で、この論点をもう少し詳しく扱っています。
訛りと「きれいな英語」について
国選びで必ず出る論点なので、結論を書きます。実用上、ほとんど問題になりません。
英語には地域ごとの発音の差がありますが、これは日本語に方言があるのと同じです。どの国で学んでも、多様な発音に触れることは聞き取りの幅を広げる方向に働きます。むしろ「1つの発音しか聞いたことがない」ほうが、実務では困る場面があります。
語学学校のクラスメイトは世界中から来ています。つまりどの国を選んでも、あなたが日常的に聞く英語は多国籍です。訛りを心配して国を選ぶより、その環境で自分が話す量を確保できるかを考えるほうが実用的です。
判断法:その学校の国籍構成、クラスの人数、放課後に英語を使う機会があるか。留学ガイドの各国記事に確認すべき項目をまとめています。
治安と生活のしやすさ
治安は国単位ではなく都市・地区単位で考えてください。同じ国でも地区によって環境は大きく変わります。「◯◯は安全な国」という括りは、住む場所を決める役には立ちません。
より実務的に効くのは次の3点です。
- 医療にアクセスできるか:保険の補償範囲と、受診の流れ。国によって家庭医を経由する仕組みがあります
- 住居が確保できるか:ダブリンやロンドンは住宅そのものが不足しています。ここが最大の生活リスクになる都市があります
- 公共交通が機能するか:夜間の移動手段があるか。働く時間帯に直結します
国別の詳しいガイドと、よくある失敗
ここからは、判断したあとに効いてくる具体的な話をまとめます。
国別の詳しいガイド
- カナダ|費用・国籍比率・エリア・期間の決め方(運営者の実体験)
- オーストラリア|就学は最大4ヶ月。オンライン講座は対象外という例外
- ニュージーランド|合計6ヶ月。稼げる季節を潰さない配置
- イギリス|期間の上限がない代わりに費用が最も重い
- アイルランド|入口が2つある。Stamp 2なら最大2年
- フィリピン(二カ国留学)|前半で単価を下げ、後半を欧米圏に
国選びでよくある失敗
失敗①:国を決めてから制度を調べる
最も多い失敗です。「行きたい国では、やりたいことが制度上できない」と後から分かると、計画をやり直すことになります。
失敗②:時給の高さだけで選ぶ
オーストラリアは時給が最も高い一方、家賃と食費も最も高くなります。比べるべきは「時給 −(家賃+食費)」です。
失敗③:首都・大都市を前提にする
ロンドン、シドニー、バンクーバー、ダブリン。いずれも各国で住居費が最も重い都市です。同じ国でも都市を変えれば負担は大きく変わります。
失敗④:締切のある国を後回しにする
アイルランドのワーホリは年800枠で申請期間が年2回、イギリスは年6,000枠の先着制です。これらが候補にあるなら、他の準備より先に申請カレンダーを確認してください。
今日からできる3つのこと
- ①目的を1つに絞る:費用を抑える/働きながら学ぶ/長く滞在する/短期で試す
- ②その目的を制度上満たせる国だけを残す:ここで候補が2〜3に減ります
- ③残った国の「①+②−③」を計算する:月あたりの学費+生活費−収入見込み
留学の国選びは、好みで決めても構いません。ただし制度で絞ってからにしてください。順番を守るだけで、渡航後にやり直すことがなくなります。
学校選びで効くのは知名度より、クラスの国籍比率とレベル分けの細かさです。そしてこの2つは、パンフレットに載っていないことがあります。複数社に同じ質問をすると、答えの差がそのまま各社の得意分野になります。
② 2社目の見解を取る|ラストリゾート
ワーホリ・語学留学の取り扱いが幅広く、資料請求・セミナー・カウンセリングと入口が分かれています。1社の説明が妥当かどうかは、2社目を並べたときに分かります。
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③ 3社目として|ISS留学ライフ
Z会グループが運営しています。同じ条件で3社に見積もりを取ると、金額の幅と各社が何を含めているかが見えます。
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よくある質問
留学はどの国が一番いいですか?
目的によって変わります。費用を抑えて基礎を作りたいならフィリピンや二カ国留学、働いて生活費を賄いたいならワーキングホリデーのある国、学ぶことを主目的に長く滞在したいならアイルランドの学生ビザという選択肢があります。国を先に決めるのではなく、目的を1つに絞ってから制度上それを満たせる国を残すという順番をおすすめします。
国によって学べる期間に違いはありますか?
大きく異なります。オーストラリアのワーキングホリデーはビザ条件8548で就学が最大4ヶ月、ニュージーランドは合計6ヶ月とされています。イギリスのYMSには就学期間の上限が示されておらず滞在は最長2年です。アイルランドには学生ビザで25週以上のプログラムに登録し最大2年学べるルートがあります。制度は変更されるため必ず公式情報でご確認ください。
英語の訛りが気になるのですが、国選びで重視すべきですか?
実用上ほとんど問題になりません。語学学校のクラスメイトは世界中から来ているため、どの国を選んでも日常的に聞く英語は多国籍になります。むしろ多様な発音に触れることは聞き取りの幅を広げる方向に働きます。訛りより、その環境で自分が話す量を確保できるかを考えるほうが実用的です。
治安で国を選ぶべきですか?
治安は国単位ではなく都市・地区単位で考えてください。同じ国でも地区によって環境は大きく変わるため、国の括りは住む場所を決める役には立ちません。より実務的に効くのは、医療にアクセスできるか、住居が確保できるか、夜間の公共交通が機能するかの3点です。
費用はどう比べればいいですか?
月あたりの学費、月あたりの生活費、月あたりの収入見込みの3つを揃えて「学費+生活費−収入見込み」で比べてください。これがその国で1ヶ月生活する実質負担です。期間が違う国を比べられるようになり、時給の高さや学費の安さだけで選ぶ危うさも見えてきます。
帰国後のキャリアを、数字で設計する
運営者は渡航前年収450万円から、帰国後に大手メーカーへ転職して800万円台になりました。使ったエージェントと3社並行の進め方をまとめています。
帰国後の転職エージェント比較を見るこの記事について:運営者はカナダで12ヶ月、米国で半年を過ごしました。資金要件に関する記述は公的資料をもとに整理したものです。出典はカナダ移民・難民・市民権省(IRCC)「Study permit: Get the right documents - Proof of financial support」およびニュージーランド移民局(Immigration New Zealand)「Student fund requirements」です(2026年8月時点で確認)。金額は毎年更新され、州・地域、学齢、帯同家族の有無によって異なります。オーストラリア・英国にも同種の要件がありますが、本記事では金額を確認していないため記載していません。本記事では、ビザの発給可否の判断、資金証明として認められる書類の個別の可否、学生ビザの就労時間の上限、未成年の後見人要件については扱っておらず、判断も示していません。制度・金額は変更されます。個別のビザ申請については各国の移民当局または登録された移民代理人にご相談ください。本記事は法的助言ではありません。
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本記事の制度・条件・金額は執筆時点で公開情報を確認したものです(確認日:2026年8月8日)。制度や料金は変更される場合があるため、実際の手続き・申請の前に各機関の公式情報を必ずご確認ください。本記事は法的・専門的な助言ではなく、特定の結果を保証するものではありません。