現地で病院にかかるには——多くの国で先に要る「登録」

海外で病院にかかる手順|英国は身分証も在留資格の証明も不要

体調を崩してから病院を探すと、間に合わないことがあります。

英語圏の多くでは、いきなり病院に行くのではなく「かかりつけ医(GP)に登録しておく」のが前提だからです。そして登録には日数がかかります。

イングランドのNHSは、登録について「通常はGP診療所があなたの情報を受け取ってから5日以内ですが、それより長くかかる場合もあります」としています。

そして条件が国で正反対でした。イングランドは「身分証も住所証明も在留資格の証明も必要ありません」と明記しています。一方ニュージーランドでは、公的資金による医療サービスの受給資格がある人しか登録(enrol)できず、登録していないと高い料金を請求されるのが通常とされています。

この記事では、公式資料から「着いてすぐやっておく手続き」を整理します。

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先に、2か国を並べます

イングランド(NHS)ニュージーランド
誰が登録できるかイングランドにいる全員公的医療の受給資格がある人
必要なもの氏名・生年月日・住所のみ。ID・住所証明・在留資格の証明は不要パスポートや出生証明書などの提示を求められることがある
登録費用無料登録自体は無料(診察料は別)
登録していないと一時的な患者として最長3か月の登録が可能「casual rate」というより高い料金が通常
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イングランド:登録の入口は、かなり広く取られています

NHSの記載

NHSは、こう書いています。「イングランドにいる誰もが、GP診療所に無料で登録すること、または登録先を変更することができます。ほとんどの診療所にはオンラインで登録できます」。

そして必要なものについて、はっきりした記載があります。

「GP診療所に登録するために求められるのは基本的な情報だけです。これには氏名、生年月日、住所が含まれます。身分証明書、住所の証明、在留資格の証明は必要ありません」。

NHS番号についても「あると医療記録を見つけやすくなりますが、登録に必要ではありません」とされています。

あわせて聞かれる項目も示されています。緊急連絡先の氏名と住所/現在登録しているGPの名前と住所(あれば)/介護者の名前と住所(あれば)。

そして住所がない場合の道も用意されています。「恒久的な住所がない場合、一時的な住所またはGP診療所の住所を使って登録できます」。

手順と日数

オンライン登録の流れは3ステップとされています。 「登録が完了すると通知されます。通常はGP診療所があなたの情報を受け取ってから5日以内ですが、それより長くかかる場合もあります」とされています。
オンライン以外の方法も示されています。登録したい診療所に行って紙の用紙に記入する/登録用の紙のフォームをダウンロードして記入し持参する/診療所独自のウェブサイトのフォームに記入する(一部の診療所のみ)。
「着いてすぐ」に済ませておく価値があるのは、この5日間があるからです。具合が悪くなってから登録を始めると、その5日を待つことになります。
断られた場合のルールも決まっています
NHSは、登録を拒否できる場合を挙げています。新規患者を受け付けていない/診療所の圏域外に住んでいる/過去にその診療所の患者リストから外されたことがある。
そして拒否する側にも義務があります。GP診療所があなたの登録を拒否する場合、14日以内に理由を説明する書面を送らなければなりません」。
一時的な患者としての登録も用意されています。「一時的な患者として最長3か月間、GP診療所に登録できます」。海外から訪れている場合も想定されており、3か月後は一時患者として再申請するか、恒久的な登録を申請できるとされています。
さらに救済もあります。一時的な登録の申請が拒否された場合でも、必要な治療は最大14日間、直ちに受けることができます」。
登録で問題があった場合の相談先も示されています。地域の統合ケア委員会(ICB)、Citizens Advice、地域のHealthwatch。
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ニュージーランド:登録できる人が限られています

受給資格が前提になります
ニュージーランドの公的な案内によれば、一般開業医(general practice)は、公的資金による医療サービスの受給資格がある人しか登録(enrol)できないとされています。
資格の条件として示されているのは、ニュージーランドに恒久的に居住していること(年183日以上)および Health and Disability Services Eligibility Direction 2011 の要件を満たすことです。登録の際に、パスポートや出生証明書などの証明を求められることがあるとされています。
登録すると何が変わるのか。「一般開業医に登録すると診療が補助され、診察料が安くなります。登録自体は無料ですが、その後の受診ごとに診察料がかかる場合があります」。
登録していない場合の扱いも示されています。一般開業医は、その診療所に登録していない場合、通常より高い料金を請求します。しばしば casual rate と呼ばれます」。
つまり登録できるかどうかが、そのまま支払う額に効いてきます。
本記事では、ワーキング・ホリデーでの滞在が受給資格の要件を満たすかどうかについては確認しておらず、判断も示していません。「恒久的に居住」の判定は個別の事情によって行われます。渡航後に、住む地域の一般開業医または公的機関にご確認ください。
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豪州とカナダは、また別の設計です

これまで確認してきた内容

オーストラリア——公的医療制度(Medicare)には相互医療協定の仕組みがありますが、別記事で扱ったとおり協定の対象国に日本は含まれていません。

カナダ——公的医療は州ごとの制度です。ブリティッシュコロンビア州には原則として待機期間があり、6か月以上有効な就労許可を持つ人は「みなし居住者」として扱われ得るとされています。アルバータ州では入国書類の有効期限まで6か月以上残っていることなどが条件に挙げられています。

この4か国を並べると、線の引き方がすべて違います。イングランドは「そこにいる人」、ニュージーランドは「恒久的に居住している人」、オーストラリアは「協定のある国の人」、カナダは「州の条件を満たす人」。

だから「英語圏の医療」という一括りの理解は、実務では役に立ちません。渡航先が決まってから、その国の制度を確認することになります。

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登録できても、次に「予約」の壁があります

制度と、実際にかかるまでの時間は別です

登録が済んでも、その日に診てもらえるとは限りません。予約が前提の国では、症状が出てから受診までに日数が空くことがあります。

本記事では、各国の予約の取りやすさ、待ち時間、診察料の金額については扱っておらず、判断も示していません。地域と診療所によって大きく異なるためです。

ただし、備えとして言えることはあります。登録を先に済ませておけば、症状が出た時点で「予約を取る」から始められます。登録から始めると、そのぶん後ろにずれます。

そして受診の場面では、英語が要ります。いつから、どこが、どんなふうに。医学用語ではなく、症状を伝える普通の言葉です。病気・ケガの記事で扱ったとおり、ここが伝わらないと診察そのものが進みません。

保険の使い方も別の手続きです。保険金の請求では、診断書や領収書の明細を現地で受け取っておく必要があります。帰国してからでは取り直せない書類があります。

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着いてすぐ、確認する3つ

病院にかかる手順は、国によって入口の広さがまったく違います。

イングランドは「イングランドにいる誰もが無料で登録できる」とし、身分証・住所証明・在留資格の証明を必要としないと明記しています。一時的な患者としての登録も最長3か月あり、拒否された場合でも必要な治療は最大14日間受けられるとされています。

ニュージーランドは逆で、公的医療の受給資格がある人しか登録できないとされています。登録していなければ casual rate というより高い料金になります。

どちらの国でも、やることは同じです。住む場所が決まったら、体調を崩す前に登録を済ませておく。登録は無料で、かかるのは15分と数日の待ち時間だけです。

この記事について:運営者はカナダで12ヶ月、米国で半年を過ごしましたが、英国・ニュージーランド・オーストラリアには渡航しておらず、これらの国で受診した経験もありません。本記事は制度を各国の公的機関の案内から整理したものであり、受診体験に基づくものではありません。
出典は、英国NHS「Register with a GP surgery」(最終レビュー 2025年7月28日)、およびニュージーランドの公的医療に関する案内(一般開業医への登録・受給資格)です(いずれも2026年8月時点で確認)。オーストラリアとカナダについては、本サイトの既存記事で用いた出典(オーストラリア政府の相互医療協定に関する案内、ブリティッシュコロンビア州政府およびアルバータ州政府の案内)に基づいています。
本記事では、診察料・処方薬の費用、予約の取りやすさと待ち時間、救急の利用方法と費用、専門医への紹介の仕組み、歯科の扱い、ワーキング・ホリデーでの滞在がニュージーランドの受給資格の要件を満たすかどうか、イングランド以外の英国各地域(スコットランド・ウェールズ・北アイルランド)の制度については扱っておらず、判断も示していません。該当可否は個別の事情によって判断されます。
また、公的医療の対象になることと、民間保険が不要になることは別です。カバーされる範囲は制度によって異なります。
制度・条件・費用は変更されます。渡航前および受診の前に、必ず各国の公的機関の最新の案内をご確認ください。本記事は医療上の助言ではありません。症状がある場合は、現地の医療機関または救急にご相談ください。

現地生活の手続きは、窓口で口頭のやり取りが発生します。制度を理解していても、その場で質問できないと同じ結果になります。そして連絡手段がないと、そもそも予約が取れません。

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常用している薬がある場合
厚労省の麻薬取締部は、携帯輸出入の許可について「渡航先の外国における持込みを保証するものではありません」と明記しています。日本側と渡航先側は別々の制度で、日本の申請期限は出国日の2週間前まで。英国・豪州はいずれも3か月分が上限です。薬の持ち込み手続きで整理しました。
健康診断・結核検査が必要になる場合
予防接種はビザの要件ではありません(カナダは「完全に任意」「拒否しても申請は拒否しない」と明記)。ただし健康診断や結核検査は要件になり得ます。そして判定するのは国籍ではなく直近の居住歴です。フィリピンや韓国は英国の対象国リストに含まれるため、2か国目のワーホリで条件が変わります。健康診断と予防接種の要件で整理しました。
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よくある質問

英語圏では、具合が悪いときすぐ病院に行けますか?

国によって異なります。多くの英語圏では、まずかかりつけ医(GP)に登録しておくことが前提になります。イングランドのNHSは、登録完了までの期間について「通常はGP診療所があなたの情報を受け取ってから5日以内ですが、それより長くかかる場合もあります」としています。体調を崩してから登録を始めると、この日数を待つことになります。

イギリスでGPに登録するには何が必要ですか?

NHSは「GP診療所に登録するために求められるのは基本的な情報だけです。これには氏名、生年月日、住所が含まれます。身分証明書、住所の証明、在留資格の証明は必要ありません」と明記しています。NHS番号もあると医療記録を見つけやすくなりますが、登録に必要ではないとされています。あわせて緊急連絡先などを聞かれます。恒久的な住所がない場合、一時的な住所またはGP診療所の住所を使って登録できるとされています。

登録を断られることはありますか?

NHSは拒否できる場合として、新規患者を受け付けていない、診療所の圏域外に住んでいる、過去にその診療所の患者リストから外されたことがある、を挙げています。ただし「GP診療所が登録を拒否する場合、14日以内に理由を説明する書面を送らなければなりません」とされています。また一時的な登録の申請が拒否された場合でも、必要な治療は最大14日間、直ちに受けることができるとされています。

ニュージーランドでも同じように登録できますか?

条件が異なります。ニュージーランドの公的な案内によれば、一般開業医は公的資金による医療サービスの受給資格がある人しか登録(enrol)できないとされています。資格の条件として、ニュージーランドに恒久的に居住していること(年183日以上)などが示されており、登録の際にパスポートや出生証明書などの提示を求められることがあるとされています。本記事では、ワーキング・ホリデーでの滞在が要件を満たすかどうかの判断は示しません。

登録していないと料金は変わりますか?

ニュージーランドの案内では「一般開業医は、その診療所に登録していない場合、通常より高い料金を請求します。しばしば casual rate と呼ばれます」とされています。逆に登録すると診療が補助され、診察料が安くなるとされています。登録自体は無料です。

オーストラリアやカナダはどうですか?

オーストラリアの公的医療制度には相互医療協定の仕組みがありますが、協定の対象国に日本は含まれていません。カナダの公的医療は州ごとの制度で、ブリティッシュコロンビア州には原則として待機期間があり、6か月以上有効な就労許可を持つ人は「みなし居住者」として扱われ得るとされています。アルバータ州では入国書類の有効期限まで6か月以上残っていることなどが条件に挙げられています。詳細は各記事でご確認ください。

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本記事の制度・条件・金額は執筆時点で公開情報を確認したものです(確認日:2026年8月16日)。制度や料金は変更される場合があるため、実際の手続き・申請の前に各機関の公式情報を必ずご確認ください。本記事は法的・専門的な助言ではなく、特定の結果を保証するものではありません。